所々原作を再現した場面が見受けられるものの、基本的に原作無視で進行している映画「近キョリ恋愛」。
最初の邪魔者、芽衣達を片づけたところで今回は4回目です。
そんなここまでやってきた補習ですが、明智がゆにの異変に気付き、補習を強制終了させます。
映画を観て驚いたのですが、この時点までハルカは明智がゆにの保護者代わりをしている事を知らなかったのですね。
ずっと知っているものだと思っていました。
確かに映画ではハルカはゆにの担任ではありませんが、普通そういうのは知っているものなのかと…
本編では特に描写されていませんが、DVDのパッケージなどではハルカは赴任したばかりということになっているのでそのせいなのでしょうか。
ゆにが何も言っていないのに勝手に判断するのはどうかと明智はハルカに言われるも、ハルカはハルカで「彼女はまだまだ成績が伸びる」とやめたくはない模様。
前々回から「ゆにの成績を伸ばすことだけが目的ならなぜ彼女にしか補習をしないの?」という疑問を感じていましたが、ますますその疑問がひどくなっていきます。
恐らくあの(芽衣に閉じ込められる直前の)65点のテストで成績が伸びたと判断されたのでしょう。
確かに成績としてはまだまだですが、それでも、ハルカは未だにゆに「だけ」に補習をしようとしているのです。
ゆにの成績はどんどん伸ばすのに、他の生徒はほったらかし、これって教師としてどうなのでしょうか。
ちなみに、原作ではこのような強制終了ではなく、ゆにが授業の内容に追いついたから、とハルカの方から自ら終わらせています。
大半の指名補習の目的は遅れている生徒がみんなと同じレベルに追いつかせることが基本、原作のハルカはまさにその通りの事をしています。
一方、映画のハルカはゆにだけを指名し補習、しかも芽衣のような自分から補習したいという申し出る生徒も断り、ゆにの成績がそれなりに伸びてもまだ彼女にだけ補習をしようとしたのです。
わざわざゆに用に教材作っていますからね。芽衣じゃなくてもハルカの補習を受けたいと申し出る人がいてもおかしくないレベルです。
(そもそも、現実的な話、たった1人の生徒のために教材を作る時間が教師にはないと思うのですが…)
これが雑誌のインタビューでよく見かけた山Pの言葉「教師として当然のこと」にふさわしいのでしょうか。
ゆにがナミに相談する場面。
ここでホームページのストーリーのところや直前まで更新されていたブログに登場する名セリフ「大嫌いなのに、冷たくされると悲しい。顔も見たくないって思ってるのに、会えないと寂しい……」や「大嫌いと大好き、両方あるのが本物の恋なんだ」が登場します。
しかし、先に言っておきます。
このセリフ、原作には登場しません。
たいてい漫画の実写映画というのは原作の名言をそのまま映画で再現するというのが普通のパターン。
しかし、近キョリ恋愛の場合、わずかながら再現したセリフはあるものの(ハルカの「逃がさないから覚悟しとけよ」もその例です)、ほとんど原作の名言は登場していません。
それどころか、勝手にオリジナルのセリフを名言扱いしてしまうのですからビックリです。
なんていうか…以前から言っていますがこんなに改変するなら始めから近キョリ恋愛を名乗らずにオリジナルでやってくれと思います。
そして、好きな人とうまくいったら1番に私(ナミ)に報告してね、と約束するという、なんていうか、もうオチが見える展開になっています。
あくまでも個人的な感想ですがこれが薄っぺらいんですよね…
申し訳程度の友情展開というか…
中学からの友達と最初に説明されていましたが、なぜゆにがナミとだけ仲良くなったのかという話は本編中で一切されていません。
原作ではナミが最強のヤンキーだったことで周りから恐れられていた中、ゆにだけは普通に接してきたことから仲良くなったという背景があります。
さらにはゆにを傷つけたくないから、とナミがヤンキーをやめたというエピソードもあります。
2人が仲良くなったきっかけが描かれていない上、突然「友達だから約束」というどこにでもありそうな展開がますます薄っぺらさを感じさせます。
ゆににたくさん友達がいてナミがその中でも仲がいい1人(つまり原作と同じ状況)ならまだいいのですが、映画ではナミ以外友達がいないとなっているので、そこまでナミとだけ仲がいい理由が気になりました。
そして、申し訳程度といえば、こちらは申し訳程度に原作を引用した場面。
ナミに相談した後、書店で恋愛の本を読んだゆにはハルカに告白しようと決意。
しかし、授業中に言おうとしたり、ハルカと2人っきりになった時に言おうとするもなかなか言えない…という場面です。
この場面自体は映画オリジナルですが、申し訳程度に原作の小ネタが入っています。
授業中にいきなり「先生」と挙手して告白しようとするゆに。
しかし、なかなか言えず「すぐに授業を始めてください、授業開始時刻3分23秒を過ぎています」と言っています。
また、ハルカが車の中でタバコを吸おうとしているところをタバコを取り上げてタバコは危険だと話した上で今度こそ告白しようとします。
しかし、またもや言うことができず、「○○(※早口すぎて聞き取れませんでした)のスペルを教えてください」と言っています。
実はこの2つのゆにのセリフは両方とも原作第1巻の第2話「天才少女のQ&A」に登場するセリフです。
後者の方は原作では「今後についてどう考えていますか」と言いたかったのに言えず「コングラチュレーションのスペルを教えてください」と言っていますが、前者に関しては3分23秒まで(ついでに言うとその後のハルカのセリフも)原作と一緒です。
これらのセリフは原作のコミカルな世界の中で、あくまでギャグとして出てきたセリフ。
ですから、劇場で見た時、これらのセリフが映画版でも出てくるとは思いませんでした。
セリフに限らず、この場面はまさに原作のゆにのぶっ飛んだ行動(失敗していますが)を思い出させる場面です。
しかし、今まで原作のゆにと違ってクールな優等生キャラだった映画のゆにがここに来てぶっ飛んだ行動をし出したので、またもやキャラがブレているなー…と思いました。
原作の変人のゆにがやりたいのか、オリジナルの無表情な天才のゆにをやりたいのか、どっちなのか分かりません…
あまり感想を書く場面がなかったので短いですが、40分のあたりになったので今回はここまでにします。
この辺は結構申し訳程度な友情描写や原作リスペクトの場面でしたね。
相変わらずハルカがゆにだけに補習をやる理由がめちゃくちゃだし…もう補習は終わりましたが。
次回はいよいよ近キョリ恋愛最大の場面、教卓キスから始まり、美麗が登場します。
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ナミとゆにの出会いはこの巻の第24話「天才少女の親友」で描かれています。