ある企業の「改善活動」を見に行ったことがある。
朝礼の際に、部長の前で一人ひとりが「今週の報告と、来週の目標」を発表していくだけの儀礼的なものだった。
しかし、役員の一人は、この活動に対して異常なまでのこだわりがあった。
しかも活動の中身ではなく、「発表するときの声」にだ。
例えば、中には、人前で発表することが苦手な、声の小さい人も当然いる。
そんな人に、役員は
「声が小さい!」
と、やり直しをさせるのだ。
見ていて気持ちの良いものではなかったが、私は外部の人間であるし、経営者がそれを許しているのだから、この「儀式」について止める理由もない。
そして当時、このようなことをしている会社は特に珍しくなかった。
*
ところがある日のこと。
役員の気に触った一人の新人が、皆の前で「こっぴどく怒られた」とき、それを見かねたリーダークラスの一人が、役員に対して「もういいでしょう!」と抗弁した。
場は凍りつき、ピリピリとした雰囲気だったが、その場は役員が謝罪して収まった。
そして、「事件」のあと。
リーダーとその役員の間で、社長が仲裁に入って話し合いが持たれた。
社長はリーダーの話に理解を示した。
そして、役員に「やりすぎである。本来の趣旨と違うはず」と反省を促した。
だが、社長はリーダーに対しても言った。
「冷静さを失うとは、何事だ。そのようなことではリーダーを任せられない」と。
それは事実だった。
あの事件の後、ほかの社員が件のリーダーを見る目が、すこし変わってしまったのだ。
しかも、残念ながら称賛ではない。
どちらかと言うと、冷ややかな目だ。
要するに、皆「あのリーダーは、(役員と同じ)キレる人だったんだ」と判断されてしまったのだ。
リーダーはおそらく、正義感からの行動をとったのだろう。
「弱い人」が叱られるのを見ていられなかったのだろう。
また、前から「朝礼」が無駄だと「まっとうに」思っていたのだろう。
でも「キレる人」には皆、近寄りたくない。
彼は冷静さを失ったことで、「味方」をなくしてしまったのだ。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
◇◆◇
こちら、クリックをしてくれると
飛び上がって喜びます(*≧∀≦*)
直接のお問い合わせは、
下記アドレスへお願いします。
tadashiprosta@gmail.com
※こちらもリクエスト・フォロー大歓迎です。
Facebook:https://www.facebook.com/htadash
Twitter:https://twitter.com/togura33