名古屋港では時々、帆船の「日本丸Ⅱ」や「海王丸」が来て総帆展帆(セイルドリル)を見せてくれます。
※総帆展帆〈そうはんてんぱん〉・・備え付けてある全ての帆を広げること。
この「日本丸Ⅱ」は「太平洋の白鳥」とか「海の貴婦人」などと呼ばれている事はご存じと思います。設計から製作まですべて日本国内で行われ、1984年(昭和59)に日本丸の後継として就航した大型練習帆船です。
この日は1時間ほどで全ての帆を広げ、美しい姿を見せてくれました。
若い実習生たちのきびきびした動作や元気な掛け声も、スカッとした青空のように気持ちの良いものです。
メインマストの高さは43,5m(甲板から)
徐々に帆が張られていきます。(途中は省略します)
完成しました。(船尾方向 から)
反対側の船首方向から見てみます。
しばらくすると、縮帆(帆をたたむ)が始まり、たたみ終えるとマストに上り、帆をロープで縛ります。
最初から最後まで、約3時間くらいかかります。
同じく「海王丸」のセイルドリル。
※メインマスト | 44m(甲板から) |
号令で一斉に上ります。最近は女性徒の姿もよく見かけます。
こんな所を上るのも速い、速い、あっという間に一番上まで上りました。
姿がどんどん変わっていく。
完成したようです。船首からの姿。
船尾からの姿。
ポートビルの展望階からの海王丸をズーム。
八十国(やそくに)は 難波に集ひ 船かざり
我がせむ日ろを 見も人もがな
丹比部国人(万葉集)巻20-4329
<意味>
多くの国の防人が難波に集まって船出の準備をする日に、私の姿を見てくれる人がいれば良いなぁ。
当時、東国から来た防人たちは難波に集合し、その後、兵部省の検閲を受け、順に筑紫に向かって出発する決まりになっていました。
当日は出航の為に船の整備をし、その上、旗や幟を飾り立てて出発を祝ったようです。
賑やかな催しに、中央の役人や豪族出身者には見送りに来る家族や友人らがたくさんいて、それぞれ別れを惜しむ光景が見られたようですが、作者には難波の近くには知り合いもなく、華やかな催しの中で孤独や不安が隠しきれないようです。