さて、本日のテーマとなる車両は、トヨタ コロナ(1987)だ。こいつはかつてとてもよく売れ、よく走り、そして多くの人々に感動を与えた国民車であった。この小さな室内に、多くの夢や希望を乗せ、走り去っていったのだ!程よいサイズ感に、マッチしたパワーニユットが備わっておる。

パワーニユットの解説に移ろう。エンジンユニットは、上から2L、1.8L、1.5Lと、ただでさえ悩ましいバリエーションである。そこにさらに、ディーゼル仕様も加わる。裕福な投資家であれば、全てまとめて買い上げるレベルと言っても過言ではない。ギヤァボックスは、4速オートギヤァ、そして4速マニアルミッション、5速マニアルミッションが用意されている。どれでも好きなものを選べばよい。主には前輪駆動方式となるのだが、車輪がふたっつ動いていればそれでよいではないか。

お次はヴァリエーションだ!トヨタコロナは大勢の国民を魅力したが、それには理由がある。選択肢の多さである。


定番と言えば、このセダンタイプ仕様である。とにかくこれに乗っておけば、道を踏み外して後悔することはない、とここではっきりと断言させていただくわ。一見、何の変哲もないが、その何もない日常こそが大事なのだと、この車は訴えかけている。より解りやすく解説して差し上げよう。朝日の明るさにより起床し、顔を洗い、白米と味噌汁を食べ、歯を磨く。皆の衆にとって、これら一連の流れは当たり前で有り難みのない光景かもしれない。しかし、そんな日常が奪われてしまったらどうだろう?今後の生涯、日の出が見れなくても正気でいられますか?蛇口をひねって水が出てこなくても騒がずにはいられますか?毎朝湿気ったシリアルで十分な働きが出来るのだろうか?歯を磨かず、ミンティアを噛るだけで虫歯は低減できますかね?


よって、トヨタコロナ セダンタイプは、日本国民にとって、白米と味噌汁のような存在を演じている。



お次は5ドァアバッチバックスタイルモデルだ。正式にはコロナSFと名乗るモデルとなる。きっと、サイエンスフィクションを意味しているのだろう。時代背景を追って考察すると、確かに当時の日本では、技術的な大革命が起こっていた激戦の時代である。マスコミに追われる怪しい科学者たちは、こぞってこのコロナSFを所有していた。ちなみに、ダァークブルーの外装色が人気だったそうだが、闇夜に怪しい薬品を搬送していても、目立たないからとされている。ハッチバック形状であるため、空力性能にも優れており、素早く行動するにはもってこいである。まさに、センセーショナルフィーリングである。



トヨタコロナには、ヴァンタイプも用意されていた。残念ながら、こいつは主にヴィジネス用途だ。しかし、ファミリー車両として活用いただいても全く問題はないだろう。価格も安く、財布にも優しい。ここにも、国民を思いやる気持ちが現れている。例えばこんなライフプランは如何だろう?平日にはこいつの荷室に大量の書類を積み込み、全国をハシゴする。無論、叱られ、汗水を流し、サービス残業を強要されながらだ。休日はルーフにサーフボードを積み、横に不倫相手を乗せ、夕暮れの海岸沿いをゆったり流す。シャンパンゴールドの外装色が非常にマッチするだろう。スマートにヴィジネスを進捗しつつ、プライベートも満足することが出来る、まさに一石二鳥とはコロナヴァンを表している。

こいつぁスーパールーミーと称する、所謂富裕層向けのリムジンモデル。日本国内の重役が愛用していたのはもちろんのこと、ハリウッドスターがラスベガスで乗り回していたとも噂される国産高級乗用車だ。通常セダンをベースに、約210ミリほど延長。広々とした室内空間を実現している。リア室内でのシャンパンタワーや、美しい女性を数人連れ込みドライブすることも可能ではないだろうか。知らんけど。

余談だが、コーヒーブレイクとしてここで筆者の思出話をひとつ。筆者の実家でも、以前トヨタコロナの通常セダンタイプを所有していた。恐らく、1.5Lのエコノミーモデルだったと思われる。ある雨の日のこと。幼少期の筆者が聖サンタルチアエリートキンダーガーデンへ送迎されていた時の話だ。70キロ制限の道路を、ゆったり安全に40〜50キロ程度で走行をしていると、後方から激しい警笛と、パッシングを受けたのだ。さらに我々の車両に蛇行し、接近してくる。その車両が、まさにスーパールーミー リムジンであった。エコノミーモデルとスーパールーミーでは雲泥の差である。幼少期ながら、筆者はトヨタコロナによって、格差社会を学ぶことになったのだ。

話は戻るが、ルーミーは2016年に復活を果たした。相違点があるとすれば、現行ルーミーは全長ではなく、全高が拡大されたモデルとなる。


デート用の2ダァクーペまで用意されていたのだから驚きを隠せない。ゆったりドライブを楽しむもよし、スポーテーカーとして走りを楽しむのも、所有者の決断に委ねられている。ちなみに、コロナと名乗ってはいるが、コンポーネントはセリカを横流ししているだけである。しかし残念ながら、スノー及びダートコースを走破出来るような性能は横展開されていない。まあそんな事は気にせず、ラグジーで都会的、寛大な心を持つ人にこそ、適した1台なのだろウ。それにしてもつくづく、トヨタコロナという車は生涯を表しているナ、と痛感する。若いカップルの時代は2ダァクーペモデル、家庭を持ち、子供が誕生したら4ダァファミリーモデル、子供も独立した老後、再びまた2ダァクーペと、トヨタコロナがあれば一生を謳歌することが叶う。まさに夢のような車両ではなかろうか。

かつては全国民の心を奪ったトヨタコロナ(1987)であるが、現在となっては見る機会はほぼなく、UMA的な扱いとなっている。先ほども述べたが、筆者もこの車両に深い思い入れがある。多くは天の国へと旅立ち、天の国の住人の愛車として、現在も活躍していることが確認出来ている。