ゴルフ版マネーボール 桑木志帆が首位発進

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 JLPGAツアー2024シーズン第16戦『ニチレイレディス』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)が6月14日、千葉県千葉市・袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(6,584ヤード/パー72)で開幕した。大会第1日は大混戦。66をマークした小林夢果、桑木志帆が6アンダーで首位に立った。1打差の5アンダー、3位タイは2週連続Vを目指す、大里桃子、竹田麗央。ディフェンディングチャンピオン、山下美夢有は2アンダー、14位タイからジャンプアップを目指す。                              
(天候:晴れ 気温:27.7℃ 風速:2.8m/s)
《グリーン=スティンプ:11 3/4フィート コンパクション:24mm》

 

 善は急げ。得意の7、8月を迎える前に桑木志帆が好調をアピール。1イーグル、4バーディーの66をマークし、首位スタートを決めた。「体調が良くなったことが一番。あとはノリと勢いです」と、好調の要因を思わせぶりな言葉でひとこと。

 

 前週、ここまで抜群の安定感を誇っていたが予選落ちを喫した。「すごく体調が悪かった。もう、何をしてもどうにもならない。でも、いい休養をいただいた-そんな気持ちできょうのスタートへ臨んだ」そうだ。ただ、予選落ちの前週は、ホールアウト後も練習を行っている。「とても、休む気にならない。あのまま帰っていたら、自分に負けたような気がしたから・・・。1時間ぐらいかなぁ。もし、まわりが止めてくれなかったから、もっと長くやっていたでしょう」。すさまじい気迫が漂っていた。

 

 という経緯があっての今大会。心機一転とばかりに、新たなチャレンジをした。1Wのシャフト、3Wのヘッドとシャフト、パターを替えている。その試みがズバリ。最初に変化をみせたのがパターだった。ピン・アンサー2が真価を発揮したのは8番。ピン手前5メートルを見事なバーディーで勢いをつけた。

 

 「きのう少しつかって、試そうという気になった。私もラインの読みがすごく良かったけど、パターがいい仕事をしてくれた。ボールの回転がすごくいい。それから、最後のひと伸びでカップへ転がるところが気に入りました」と解説する。

 


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

 この日のハイライトは10番だろう。ピン奥15ヤードから、58度の第3打をチップインイーグル。しかも、右足は右バンカーからというスーパーショットだった。さらに、14番が3メートル、15番でも5メートルの連続バーディー。「いつも、5メートルのチャンスが決まるなんて、すごく少ない。きょうはびっくりした」とも語っている。

 

 一方、3Wはヘッドを13.5度から15度へ。たくさんのチャンスメークを演出したクラブだ。今回の変更には、こんな事情がある。今季の全ショットのデータを分析。「高い弾道が出て、シャフトでバラつきを抑えたかったから」との狙いがあった。ツアーでは父・正利さんが帯同。昨年から、全ホールでショットの落下地点などを克明に記録している。

 

 積み重ねたデータを基にして、何がベストかを考えた。まさに、ゴルフ版・マネーボールなのだ。ホールアウト後の取材では、最終日が父の日-という質問を受けた。「エッ・・・」と、ちょっと驚いたような表情を浮かべたように見えたが、「いい形で終わることができたら」。

 

 今季4回目のノーボギーラウンドでの第1日を終え、悲願のツアー初Vを見据えた。

 

以下、各選手のコメント

大里 桃子<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

大里 桃子(3位タイ:-5)
 「前週優勝したことで、気持ちはリラックスしてラウンドできました。でも、疲れも溜まっていたのかショットが乱れていた。そこは疲れを取っていくしかないという感じです。パッティングは入りましたが、グリーンに乗らなかったときのリカバリーはまだまだ伸びしろがあるかなぁ。
 2週連続優勝は、あす終わってみて考えます。きょうは暑かったので早く帰ってサウナに入りたい」


竹田 麗央<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

竹田 麗央(3位タイ:-5)
 「背中の痛みもなく、ほぼ100パーセントでプレーできました。ショットも安定していて、18番以外はバーディーパットも決まって、満足のいくラウンドになりました。きょうは暑かったですが、寒いときよりは体が動くので、あまり苦にはなりません。
  またあすからもしっかりバーディーを取って、スコアを伸ばせたら-」


小林 光希<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

小林 光希(5位タイ:-4)
 「きょうはアイアンショットがすごく良く、チャンスにたくさんつけられたので、バーディーを取ることができました。あまりリランキング(現在3位)のことは頭にありません。最近は自信を持ってプレーできています。
  今回のコースはグリーンが小さく、すぐにこぼれてしまうので、難しい。あまり欲を出さないようにしたい。あすも60台で回れたらいいなぁ」


木戸 愛<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

木戸 愛(5位タイ:-4)
 「難しいコースですが、パーセーブやバーディーが決まってくれて、すごく良いゴルフができました。今回(キャディーの)尾崎智春さんとは、ショットが良くなってきているので、その中でターゲットに集中していこうと話していました。それが調子の良さに繋がっています。
  フェアウェイをキープして小さいグリーンをしっかり狙えるゴルフをできたらいいですね。ターゲットに全集中で頑張ります」


吉本 ひかる<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

吉本 ひかる(5位タイ:-4)
 「きょうのスコアは、パッティングが良かったから。ショットがいまひとつだったけど、本当に助かった。また、コースとの相性はあまりいいとはいえません。予選通過が1回だけ・・・。ティーイングエリアで目線などが合いづらい。へたくそなんですね。ただ、これだけいいスタートを切ることができた。また、全英女子オープン出場権をいただき、私の周囲が喜んでいる。ベストをつくします」

 

 

佐久間 朱莉<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

佐久間 朱莉(5位タイ:-4)
 「18番のイーグルパットは、残り6メートルぐらい。入らなかったけど、バーディーは獲れたし、ボギーフリーのラウンドだったので、あすにつながるバーディーだったと思います。どちらかといえばショットメーカー。グリーンが小さくてもバーディーパットは打てていると思います。あす以降もグリーンに乗れば、バーディーチャンスも増えてくるでしょう。しっかりいいパッティングが決められたら」


大出 瑞月<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

大出 瑞月(9位タイ:-3)
 「前半のフェアウェイキープが2回だけ。インターバルで気持ちを修正したら、とてもショットの精度が上がってきた。特に印象に残ったのは8番かなぁ。第1打から2.5メートルのバーディーバットまで、思い通りでした。欲を出さず自然体でプレーを心がけています」


菊地 絵理香<Photo:大会提供>

 

菊地 絵理香(14位タイ:-2) ※11番ホールインワン達成=賞金10万円
 「試合ではおそらく3回目。まさか入るとは思っていませんでしたが、ギャラリーの方がワーッと歓声を上げてくださって、入ったことを知りました。いつも賞金がかかっていないホールでの達成なので、入ってうれしいです。賞金を大切に使います。
 きょう、ショットの感触が良くなってきましたし、良い流れでホールインワンも出ました。あすからはスコアというより、この流れを活かして良いゴルフができたらー」


山下 美夢有<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 

山下 美夢有(14位タイ:-2)
 「ショットは比較的よくなかったのですが、しっかり後半のパー5でバーディーを取れました。18番(パー5)はそれほど距離もなく、狙いづらくはなかったので、思い切って打てたと思います。
 あす以降も暑くなるでしょう。しっかり熱中症対策をしながら、ベストを尽くして頑張りたい」