電波の城


細野不二彦は好きな漫画家です。

「電波の城」は

彼がテレビ業界を題材にして
『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載していた作品です。

私は
単行本でしか読みませんでしたが

7/30に23巻が出て
完結致しました。





この物語の主人公・天宮詩織は
ローカルラジオ局のアナウンサーでした。

あるとき
テレビ局のアナウンサーになることを決意して上京します。


お天気キャスターでの成功を足がかりにして
どんどん大きな番組に出るようになり
ついには
看板番組を持つまでに至ります。


一方

彼女の生い立ちには
新興宗教団体の教祖の娘という
秘密があり

それに関わったジャーナリスト・天宮理一が
彼女の育ての親となったいきさつがありました。

天宮理一は病魔に倒れ
詩織は育ての父の夢を実現するべく
一流ジャーナリストをめざします。


そして
様々な裏技も駆使して
大御所キャスター・本城律子を乗り越えようとする途中で
詩織の出身教団を崩壊させたのは
烏丸というテレビ記者の強引な取材が原因であることを知ります。
烏丸は今や
テレビ局のトップにまで出世していますが
詩織は
証拠となるビデオテープも手に入れます。


しかし
告発に時間がかかれば
自分の立場はおろか
命までも危うくなることは明白です。

詩織は
覚悟を決め

テレビジャックを敢行し
ビデオテープのオンエアに成功します。

罪をつぐなうために刑務所に入るなど
プライドの高い詩織には耐えられません。

オンエアが終わると同時に
詩織が拳銃自殺して

物語は終わるのでした。






最初

あまり扱われたことがない
マスコミの内部を舞台にした作品ということで

期待していました。

終盤に近づくまでは

テンポも良く

テレビ局記者・谷口ハジメとのラブロマンスも
リアリティがあって
好印象でした。


詩織の生い立ちが
あまりにも重いので

そこが気になっていましたが

物語後半では
自分の秘密を守るために
詩織に殺人をさせています。


ラストシーンも

拳銃で頭を撃ち抜くシーンに
大きな花束の背景を重ねて

終わっています。


このあたりの
重苦しさは
救いがなく

個人的には
「一線を越えてしまった」
という感じが残りました。


過去の作品には

「さすがの猿飛」
「ギャラリーフェイク」

などの名作があるので

次回作を待ちたいと思いました。