The Story Vol.1 椿 大志

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高校卒業後の7年間をベースとして過ごしたフランス。

椿大志にとって、4月5日から17日までのフランス遠征は「またここに戻ってきたな」という感覚で迎えたという。

 

フランスでの生活が長かったこともあり、現地でのコミュニケーションにも問題がない。

フランス語での会話ができることや、土地勘を持つことで、レース以外の面でもチームの中心に立つことが多かった。

 

肝心のレースでは、この遠征のビッグイベントでもあったツール・ドゥ・ロワール=エ=シェール(UCIヨーロッパツアー2.2)で総合52位。

出入りの激しい展開、横風、急坂と、プロトンがめまぐるしく動きを見せる中にあって、KINAN Cycling Teamは苦戦を強いられた。

椿の成績はチーム最上位とはいえ、5日間のレースを完走したのは2人、という結果でのものである。

 

 

選手たちは口々に、ヨーロッパの選手たちとのフィジカルの差は感じないと言う。

体格差こそあれど、実際のところは上りで苦しむ選手も多かったし、プロトンのスピードについていけないヨーロッパの選手たちも多くいた。

状況次第では、KINAN勢でもアクションを起こすことができた可能性もあったわけだが、それはかなわなかった。

椿に言わせれば、「場数を踏むしかない」。

やはり、それに尽きる。

 

それでも、大きなトラブルに巻き込まれることなく、要所ではメイン集団でレースを展開したあたりに、昨年までのフランスでの経験が生かされたと見てよいだろう。

メイン集団後方に押し戻される場面が多くありながら、ポイントでしっかりと前方へと上がっていく走りは、椿のいう「場数」が成したものといえそうだ。

 

では、その「場数」をチーム全体としてどのようにして踏んでいくべきか。

ヨーロッパの選手たちと比較すると、KINAN Cycling Teamのみならず、アジアの選手たちはレース数が絶対的に少ないという問題に直面する。

日本やアジアであれば、KINAN Cycling Teamがレースを支配することも多いが、それだけでは場数を踏んだことにはならない。

格上相手に、どれだけ戦っていくかという点で、克服すべき課題をフランス遠征で痛感することとなった。

 

 

2017年シーズンインから、2月のツール・ド・フィリピン、3~4月のツール・ド・とちぎ、そしてツール・ドゥ・ロワール=エ=シェールと、UCIレースで次々とメンバー入りを果たしている。

フィリピン、とちぎでは、ジャイ・クロフォードのアシストとして大きく貢献。

これだけ見れば、椿はチームの即戦力であり、レギュラーになっているとの見方もされがちだ。

 

だが、その点において椿は冷静だ。

「自分に求められているのは、フランス時代を含めた経験をチームメートに伝えていくことだと思っている」と述べ、自身がレギュラーかどうかよりも、チーム全体の底上げを重要視する。

日本やアジアを主戦場にするチームにとって、椿が持つフランスでの経験は、「場数」を補う大きな要素となる。

 

この先に控えるビッグレース、特に意識するというツール・ド・熊野と全日本選手権個人タイムトライアルに向けて、自らの立場が決して安泰ではないことも理解はしている。

それでも、前へ進まないことには始まらない。

 

フランス遠征での歯がゆい思いをバネに、2017年シーズン第2クールでの戦いへと向かう。

そこでは、チームを引っ張る椿大志の姿を目にすることができるはずだ。

 

 

 

 

椿 大志/Hiroshi TSUBAKI
身長・体重/173cm・62kg
誕生日/1991年5月18日
出身地/東京都
脚質/パンチャー
主な実績/2012年 全日本自転車競技選手権ロード・レース 
アンダー23個人タイムトライアル 優勝
2015年 ツール・ド・グアドループ プロローグ優勝
ブログ/http://tbkhrs.blogspot.jp/

 

 

次回チーム活動

4月22,23日 JBCF 東日本ロードクラシック 群馬大会

 

 

Text, Photos, Edit: Syunsuke FUKUMITSU