あの時の彼女へ | 『 自死の明日 』~夫を亡くして、どう生きていったらいいのか探している自死遺族のブログ

『 自死の明日 』~夫を亡くして、どう生きていったらいいのか探している自死遺族のブログ

2016年6月に夫が自死。
私たちは高校の同級生でした。
深い悲しみと自責の思いは消えることはありません。
いまは何とか生きてるだけの日々です。
混沌としたいろいろな思いの中から少しずつ書くことで
どう生きていくのか探して行ければと思います。


先日の記事に続き
命について、自死について・・・


何度も思い起こす場面がある
記事にも書こうと思っていたから実はもう書いたと思っていた
でもどうやらまだ書いてなかった…たぶん
先日、未遂の方の言葉を見たときにまた思い出した


自死や医療的な描写があります
つらいことを思い出すかもしれません
不安なかたは読まれないようにお願いします









十数年前の仕事で血管造影室にいたときの場面を、ときどき思い出す


何階だったか
飛び降りにより骨盤の複雑骨折や
腹腔内出血など・・・
そのときは、出血源を見つけて治療するためだった


いくつか血管を造影して、破綻しているところを探っていく
漏れているところを見つけて、塞栓(止血)していく


彼女は奇跡的に意識があった
治療中、ときどき声をかけに側に行った
そのとき頭のなかでは、
いろいろ辛かったんだろうな、今も辛いだろうなと思うけど、通り一辺の言葉しかかけられなかった
どう声をかけたらいいのか迷った
もちろん、大事な治療中なので短い言葉しかかけられない

『寒くないですか?』
『気分は悪くないですか?』
『痛みはどうですか?』

彼女は小さくうなずくだけだった
自分は無力だと身に染みた



時間外に緊急で始まった治療は長時間にわたり、これでもかというほど念入りに出血箇所が他にないか調べる
私は自殺を図った患者さんと関わったのはそれが初めてだった
途中、以前飛び降りを止められたことを何度か思い出した
記事にも以前に「あの日のふたつの命について」と書いた、屋上の端に腰かける女の子を保護できたときのことを…
でも今横たわる彼女に言葉をかけるのは難しかった


治療にかかわった医師、技師たちにそのとき教えられた


『こんなに苦労して治療してもまた繰り返したりする…』

『いろいろあったんやろけどな…
オレらができるのはここまで。
あとは精神科の仕事や』



医療も専門分野がある
精神科だけでもなく、社会だけでもなく、周りや本人やいろんなことが重なって、自死は防げたり防げなかったりするのかもしれないが・・・
ここでやれることは、ここまで
放射線科の血管造影室でのことだった



あのとき台に横たわっていた彼女に
今の私なら
なんて声をかけるだろう


あれから年月が経ち
さらに生や死に関わり、
自死に関わり、
命についていま思う私から


治療の場だから病室のように話はできない
だけど・・・


強く手を握ってあげたい
思いを込めて、ぎゅっと握ってあげたい