とにかく地上へ帰る準備を始めた。

す、すると、恐ろしいことが起こったのだった!

なんと、さっきまで嫁が温めていた卵にひびが入って、中から何かが出てきそうになっている!

なにやらくちばしのようなものが見えてきてるではないか!

その生物は、そこから約3時間かけて、ゆっくりゆっくり姿をあらわした!

僕たちは途中、もう一回ムスカじいさんのケーキ屋で、チーズケーキとチョコシフォンケーキとシュークリームを買ってきて食べたりしながら時間を潰して出てくるのを待った。

「あのじいさん腕は確かやなあ」、みたいな話をしながら待った。

そして、その生物の姿を見て僕たちは驚いた。

なんとその姿かたちは、リキッドそっくりではないか。

やはりリキッドの卵だったようだ。

ではなぜ一回温めるのを全然知らない鳥に譲ったのか?

なぜ、人間が口笛吹いてごまかそうとしてる時の顔、みたいな顔をしたのか?

なぜ、この待ち時間をまるで他人事のように、僕たちと一緒になってケーキを食べながら過ごしたのか?

理解に苦しむ。

どんな顔をしてるしてるのかと思ってリキッドの方に目をやった。

まただ!また、人間が口笛吹いてごまかそうとしてる時の顔、みたいな顔をしている!

しかも顔を作っている時間が短い!

すぐにやめてケーキの残りを食べだしている!

なめられている。

完全になめられている。

でも、子供の誕生おめでとう。

リキッドはお父さんなのかお母さんなのかすら分からないが、

がんばって子育てしてください。

さあ!気を取り直して、いざ地上に向けて出発だ!

                   <つづく>