このところ、お母様の振袖を着たいと言うお客様のご来店が、多くなっております。

 

世代的に、そのお母様方は、五十歳ちょっと前ぐらいの方が多いようです。

 

とても素晴らしい伝統柄のお着物が多く、

お手入れしてでも、お召しいただいたほうが良い物が、

ほとんどです。

 

しかし、当のお母様自身は、全くお召しになっていなかったり、

一度ぐらいしか、お召しになっていなかったりする場合が多いのです。

 

だから、当然成人式のお振袖に対する重要性は、

お母様の方が感じていらっしゃらない場合が多くなります。

 

私は、全く着なかったから、どうせ買っても、もったいないからと、

お母様がおっしゃいます。

 

お嬢様は、自分の気に入った物しか着たくないとおっしゃいます。

 

そこで、まず、大切なのは、お母様のお振袖を、

お嬢様がお気に召しておられるかどうかと言うことです。

 

お気に召しておられるのなら、

お母様のお振袖をお嬢様の寸法に合わせて作り直すことをお勧めします。

 

たいていの場合は、解いて洗いやしみ抜きをして、縫い直します。

 

しみのとり切れない場合は、柄足しなどをして隠します。

  

 

基本的に二十五年ほど前に仕立てたお着物なのですから、

縫い糸が弱っている場合が多いので、

お召しになっている最中に、ピリッといっては困りますから、

縫い直しをお勧めします。

 

しかし、中には、その日一日だけなのだから、

縫い代をかけるほどでもないと言う方もおられます。

 

成人式以降、親戚、友人の結婚式があっても、

お振袖はお召しにならないと言う前提になります。

 

しかし、こればかりは、価値感なのですから、致し方がありません。

 

あと、問題となるのは、裄と袖丈です。

 

裄は、以前の反物は、今のお品物に比べると巾が狭いので、

裄が一尺八寸以上の方は、丁度良い寸法に仕立て上げることは、

ほとんど無理となります。

 

また、お母様の頃のお振袖は、中振袖の場合もあり、

袖丈が二尺五寸にしてある時もあります。

 

縫い直しても、さすがに、5寸を出すことは難しいです。

 

現在は、皆様三尺以上の大振袖に仕立てます。

 

しかし、お嬢様が、少々裄が短くても、袖丈が短くても良いと言うことであれば、

それは、それ程気にしなくても、良いと思えます。

 

お嬢様とお母様の背丈が八㎝以上違う場合は、身丈も足りなくなります。

 

これは、別布を足すことによって解決できますが、

お振袖の場合人に着せていただくことが多いので、

気にされる方も多いと思います。

 

それらを総合的に判断して、決定されるのが良いと思います。

 

そして、小物を再コーディネイトさせていただくことで、

お嬢様らしさを出されると良いと思います。

 

お着物のご相談は、きもの蔵人みやもとまで