映画『君の名は』を見て、着物を着ることで私たちが取り戻しているものを考える。

以前は流行りのものに
斜に構えるタイプだった私が

人気リゾート地ハワイを
思い切り楽しんだことで

皆が良い！
好きだ！というものも
もっと体験しよう！
と決意。

早速、帰りの飛行機の中で
昨年の大ヒット映画を見ました。

新海誠監督
『君の名は』

とってもザックリ言うと…

会ったこともない
高校生の男女が
朝起きると入れ替わる！
それは実は…

というお話です。

（ザックリしすぎ？笑）

私が観た感想は

むちゃくちゃ
おもしろかった。

泣くほどではなかったけれど。

伏線が多く
一回では繋がりを理解しきれず
機内で続けて
２回見ました。

そして映画の中で
気になったアイテムが

組紐　です。
　

この映画の中で
時空を超えた人や神との繋がりを
表現するものとして
組紐が登場します。

主人公の三葉（みつは）は
神社で家業が組紐作りという家の娘で、
おばあちゃんと妹と一緒に
組紐作りをするシーンが
何度か出てきます。

主人公のおばあちゃんが
映画の中でこんなことを言います。

”糸を繋げることもむすび　
人を繋げることもむすび
時間が流れることもむすび。
全部神様の力や”

このセリフに
「結ぶ」という言葉の
深い意味を実感しました。

着物を着る私たちにとって
組紐、といえば、
帯締めです。

組紐は
３本以上の糸をを
交差させながら作る紐。

組紐の歴史は古く
日本では縄文時代から
その痕跡が残っているそうです。

そして奈良時代の頃から
経典、武士の武具、
茶道具などに使われてきました。

着物の帯締めに
組紐が使われるようになったのは
今のように着物を着る
スタイルになった
江戸時代末期と言われています。

組紐の代表的な産地は
　京都
　三重県伊賀上野
　東京（江戸）
の三箇所。
（映画の舞台である岐阜県ではない）

いずれも
伝統工芸の技術として
国または県から指定を受けています。

組紐で作る帯締めは
平らなもの
丸いものなど
組み方に種類が多くあり

デザインも
一色の無地のものから
模様を組んだものまで様々。

帯締めは
機械で組んだ海外輸入ものは
1000円程度から買えますが

手組みの手の込んだ模様のものは
数万円となり
１０万円を超えるものもあります。

ナイロン糸ではなく
絹の糸を使い、

機械組みではなく
手組みのほうが

結んだときに
しっかり締まり、
時間が経っても緩まないと

絹の手組みの帯締めは
着物好きには
重宝されています。

このように

組紐が伝統工芸品になるほど
日本で進化発展したのは
世界でも珍しいケース。

それは、日本では
「結ぶ」という動作が日常的に多く
「結ぶ」ことに特別な意味を
　もたせていたから
と言えます。

一昔前は、
風呂敷を結んで
いろいろなカタチで
使っていました。

ご飯に具を入れて
握って作るおにぎりを
「おむすび」
とも言いますよね。

それが最近は
「結ぶ」という動作を
すること自体が
とても少なくなりました。

着物の着付けで
難しく感じる理由の一つが
紐を結ぶシーンが
たくさんあることです。

私の和装塾でも
スタートしたばかりの生徒さんが
力を入れて紐を結べないことが
よくあります。

私自身も着物を着始めた頃
一番難しいと思ったのは
帯締めの結び方でした。

私たちは
着物を着ることで

長く発展してきた
日本の組紐を使いつづけ

結ぶという動作を
取り戻している
のだと思います。

映画『君の名は』を見ながら
そんなことを思いました。

新海誠監督に会えたら
映画『君の名は』に
なぜ組紐を登場させたのか
ゆっくりお話を聞いてみたい！^^

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