文楽から感じる人間の根っこ
〜文楽デビューその3〜
文楽デビューを果たした
私、上杉惠理子が
ここは文楽の魅力だな!!
と思った点を振り返ります^^
<文楽、ここがおもしろい!3>
大阪のリアル話
江戸時代に
大阪の町で流行った文楽。
文楽の作品には
大きく2つのタイプがあります。
歴史上の人物を主役にした
ヒーロー物。
私が見た作品の1つ目の
「平家女護島(へいけにょごのしま)」
は、平家物語がベースでした。
もう一つが
「世話物(せわもの)」と言われる
大阪の町で起こる人情話。
その世話物の最初が
「曽根崎心中」でした。
実際に町で起こった
心中事件をもとに
近松が作品を書いたところ
当時、大ヒットしたそうです。
ヒーロー物よりも
俄然、世話物の方がおもしろい!!
と、私と同じように
当時の大阪っ子たちも
思ったことでしょう^^
「冥土の飛脚」も
武家から預かったお金を
使いこむ実際の事件から
近松が書いたお話。
江戸時代の大阪を
舞台にした世話物は
大阪の地名がわかると
一層、リアルに感じます。
大阪の地図を見てから行くか
大阪の地理に詳しい人と
ご一緒するのがおすすめ!
<文楽、ここがおもしろい!4>
誰が主役かわからない
歌舞伎にしても
ミュージカルにしても
一番の主役は
舞台で演じる役者さんですよね。
ですが、
文楽の場合
人形が主役かと思うと
幕が上がるとまず
太夫さんと三味線の方
が登場し
「努めまするのは…」と
二人のお名前が紹介されます。
人形遣いさんは
主遣い(おもづかい)という
人形の右手を遣う人は
紋付袴姿で顔を見せますが
凛と表情は変えません。
他の人形遣いさんは
黒い頭巾を被っています。
太夫
三味線
人形遣い
誰が主役ともなく
3者が三角形を作り
バランスを保つことで
文楽という作品が
できている。
そんな印象でした。
だからこそ文楽は
見所がいっぱいあります。
今日は人形を
しっかり見ようとか
今日はストーリーや
太夫さんの言葉をよく聞こうとか
今日は三味線に
いつもより意識を向けながら
観てみようとか
同じ作品を
何回見ても楽しめる!
むしろ
1回では見切れない!!
<文楽、ここがおもしろい!5>
一般町民の娯楽!
江戸時代の大阪っ子が
大好きだった文楽。
つまり、
一般町民の娯楽でした。
観に行った人は
舞台の前にゴザを敷いて
膝を抱えながら座って
大笑いしたり
泣いたりしながら
文楽を見たのではと想像します。
今は伝統芸能の一つで
教科書に載っていますが
そんなカタッくるしい
ものではなかったのです。
そう考えると
文楽は
歌舞伎や能よりも
落語に近いものが
あります。
私たちが
文楽の劇場に
着ていく着物も
小紋や紬がいいなと
思いました^^
文楽の舞台から
当時の人たちの
暮らしや息づかいを感じます。
そこには
今の私たちと変わらない
人間ってダメなところも
素敵なところもあるよなぁ
という何か
人としての本質を
伝えてくれているように思います。
江戸時代に生きた人たちと
感性を共有できる時間
それも文楽の魅力だと
思うのです。
***
今、文楽は
歌舞伎よりも落語よりも
知名度がありません。
それでも
文楽に魅了され
文楽を守り、伝えていこうと
一生を捧げている人たちがいます。
ですが、
どんなに素晴らしい舞台や芸能も
観るお客様がいて初めて
完成します。
私のこのブログを
お読みになったことを
機会にして
ぜひ一度
文楽をご覧になっていただけたら
とてもとても嬉しいです^^
私もまた行きます!^^
▼国立劇場HP
2月文楽公演 近松名作集 特設サイト
http://www.ntj.jac.go.jp/50th/bunraku_2/
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