映画『蘇州の夜』佐野周二、李香蘭 昭和16年(1941年)松竹 | あほじらすの超高級ヴィンテージ専門ブログ

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映画『蘇州の夜』は、川口松太郎(1895-1985)の原作になる「中國少女」(雑誌「日の出」連載)を齋藤良輔(1910-2007)氏が脚色したものである。


(↑ 「夜のソソソ蘇」かと思たわ。)

「中國少女」と「蘇州の夜」とはストーリーが大分違ってしまったが、意図するところは同一である。

「中國少女」では、佐野周二扮する青年が特務班員であるのを「蘇州の夜」では、医者にした。特務班員だと軍の機密に触れる怖れがあり、防諜強化の折柄これを避けた。

また、李香蘭の役柄は抗日から親日に目覚める姑娘(クーニャン)であることには変わりはないが、原作でスパイ行為をする怪しげな娘であるのを、孤児院の保母という立派な職業を持つインテリ娘とした。原作ではスパイ嫌疑で拘留中の姑娘を、一特務班員たる青年の保証で保釈されるが、これとて、特務班員の職務描写が困難であると同様、非常に無理なため、変更せざるを得なかった。

映画は常に國家的使命を持っていなければならない。今作品は特に日支親善という大きな使命を持っている。

―『蘇州の夜』監督 野村浩将(1905-1979)



↑佐野周二と葉苓の間に人影?

(「映画乃友」昭和16年9月号より)


特務班員と女スパイの原作のほうが明らかに面白そうなのに、当時の映画監督、脚本家は大変やったなー!