代理の旅行計画。

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夫は家からお米だけを入れたお弁当箱を持って行く日々が始まった。

 

 

今日のマヨネーズ、からし混ぜてありました?

あれおいしかったです。明日のおかずは何ですか?

んーどうしようか考え中です。そう、きょうのはからしマヨにしたのです。

佐藤さんが喜ぶお弁当を考えてます。

貴女の作るものならなんでも嬉しいですよ。

じゃあ明日はなすびを使った味噌炒め。

なすは好物です。よくわかりましたね。

本当ですか!佐藤さんの好物はっけーん☆

肉も入れてください。好物ばかりの弁当は最高です。

かしこまりこです♪楽しみにしてください。

 

 

夜な夜なするLINEも何だか見慣れてきた。

夫は私の夫でありながら完全に中村さんの手の中にいる。

 

 

 

とある日、LINEをチェックしてみると夫は驚く提案をしていた。

 

 

リフレッシュ休暇何か予定ありますか?

ちょっと考えていることはあります。どうしました?

実は、貴女を異国の地へお誘いしようと思っているのです。

異国の地?海外ですか?

そうです。旅費はすべて私が出しますので一緒に如何ですか?

パスポート期限切れてます・・・( ;∀;)

まだ申請すれば間に合うから大丈夫です。

そうなんですね。

でも、今回は・・・ごめんなさい。

そうですか。理由を聞いてもいいですか。

入籍して初めての休暇なので、あっちの家族と会う予定です。

なるほど。そうですか。では無理なのですね?

行きたいですが・・・

怒っていますか?

いいえ、怒ってはいませんよ。そちらを優先していただいて構いません。

お気になさらずに。あちらへどうぞ。

 

 

驚いた。

 

不倫相手を海外旅行に誘っていたのだ。

 

しかも断られたらあからさまに怒っているではないか。

 

 

夫は中村さんと夫婦にでもなった感覚なのだろうか。

 

中村さんがご主人の家族と会う約束を優先するのは当たり前じゃないか。

 

 

 

ごめんなさい。私一緒に海外に行きたいです。

無理はしないでください。そっちの用事が大事でしょう。

別の機会でも構わない話なので!行先はどこなのですか?

もういいですよ。今日は疲れたので私は休みます。おやすみなさい。

 

その後にLINE電話の着信が入っていた。

 

 

自分の日記を読み返す。

 

・・・夫が0時過ぎに出掛け、2時頃に帰宅した日だ・・・

 

夫の行き先は中村さんのアパートだったのか。

 

 

中村さんは夫にどう話したんだろう。

旅行2人で行くのかな。

あんな時間に家に行くなんて。

セックスもしたのかな・・・

 

そんなことを考えた。

 

 

 

 

それから数日。夫からこう言われた。

 

リフレッシュ休暇、海外に行こうや。

 

 

中村さんが行かなくなった空いたポジションに私を入れてやる、ということなのか。

 

不倫相手1番・・・本妻2番・・・

 

 

こんな旅行、誰にも言えなかった。

 

誰かに話せば、行くの?!馬鹿じゃないの?!何で行く必要あるの?!と言われるのはわかりきっていることだ。

 

 

自分だってわかってはいるのだ。

 

 

でも、もう夫とこうやって出掛けることなんてないかもしれない・・・

そんな風に思うと、自分の気持ちのけじめをつけるためにも行こうかな、という気持ちになったのだ。

 

この考えさえもおかしいのは今はわかる。

けれど、その時の私はそう思ったし、行くと判断した。

 

 

不倫している夫と、少なからず離婚を視野に入れている妻。

 

そんな私達夫婦の奇妙な旅行計画。

 

誰にも理解されることはない旅行に出発するのだ。