CFO思考-日本企業最大の「欠落」とその処方箋 | キッコロとモリゾーの愉快な物語

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はじめに なぜ今「CFO思考」が必要なのか
第1章    CFOは誰と向き合い、何を動かす存在なのか
第2章    CFOはどのような仕事をしているのか
第3章    CFOが担う10の責任領域と役割
第4章    「CFO思考」で日本経済に成長を
第5章    グローバルで活躍できるCFOへのキャリアステップ
おわりに


はじめに なぜ今「CFO思考」が必要なのか

本書では、従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼びます。
「『CFO思考』こそが、企業のパーパス(存在意義・目的)を実現させる」。これが本書の結論です。

第1章 CFOは誰と向き合い、何を動かす存在なのか

資本市場の最前線で過去面談したグローバル投資家から、私が繰り返し言われてきた言葉があります。「君たち(日本企業、日本の経営者、日本人)には、『アニマルスピリッツ』はないのか?」というフレーズです。
アニマルスピリッツとは何か?それは、「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」とのことです。

第2章 CFOはどのような仕事をしているのか

成長戦略を支えるのは、財務資本と人的資本です。いずれも、「資本」。財務諸表で言えば、損益計算書(PL)ではなく、バランスシート(BS)に登場する用語です。企業の長期的な成長を支えるのはバランスシートであり、「PL脳」ではなく「BS脳」的思考が重要です。

第3章 CFOが担う10の責任領域と役割

「リスクアペタイトは、自社が事業戦略や財務計画を達成するために、リスクキャパシティの範囲内で進んで引き受けようとするリスクの種類と水準のこと」と定義されています。
リスクはリスク管理部門が、収益は企画部門が、というように別々に管理していた体制を改め、リスクと収益を一体化して事業を運営する考え方が、リスクアペタイト・フレームワークです。
リスクアペタイトを刺激するうえで、CFOには、「リスク」と「資本」と「収益」を三位一体にとらえ、マネージする能力が求められます。

「これからの日本企業に求められるCFO像」
・CFOはCEOのビジネスパートナーであるべし
・CFOはCEOの最大の批判者であり、かつ最大の支援者であるべし
・CFOは会社の健全性を守る最後の砦であるべし
・CFOは「リスク」と「資本」と「収益」を三位一体にとらえてマネジメントする役割を果たすべし
・CFOは社内外のステークホルダーに対する最良のスポークスパーソンであるべし


第4章 「CFO思考」で日本経済に成長を

コーポレートガバナンス・コードは、取締役会がCEO以下経営陣の健全なアニマルスピリッツに基づくリスクテイクの提案を歓迎し、その果断な意思決定を支援することを求めています。

「ボード3・0」でゴードン氏らが提唱しているアイデアは、企業価値を持続的に成長させるために、取締役会に、企業が成長することと利害が一致しインセンティブを持つ投資家(プライベートエクイティ・ファンドなど)を迎え、取締役会の情報収集力やアクティビストとの交渉力などを高める、というものです。

「独立社外取締役の存在だけでは、企業価値の向上につながらない」という論点。

ニューヨーク証券取引所の「立会場」に見られるような「資本主義の根源にあるアニマルスピリッツを失わないための工夫」は、一種の無駄です。こうした意図的な無駄を行うためには、社会や経済や企業に「余裕」が必要です。