1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2005-05-05 00:00:00

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕

テーマ:デースケドガー

レニのたいこが響くとき、デースケドガーに想いを馳せる。


16世紀から21世紀までカードゲームをめぐる異聞奇譚



トップページにまとめてみました。
少し順序を入れ替えてあります。


2chの2スレにて批評依頼中。ちと長いですが読めるとこまででかまいません。

よろしくお願いします。


最後の勝負のゆくえがわかりづらいとのご指摘がありましたので「27」は少し修正しました。

そのほかただ今微妙にリライト中


FOOLS GOLD〔デースケドガー〕1
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史①
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕2
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史②
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕3
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史③
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕4
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史④
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕5
デースケドガーに関する考察その2 著名人に聞く①
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕6
デースケドガーに関する考察その3 世界分布図と東京アンダーグラウンド
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕7
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史⑤
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕8
デースケドガーに関する考察その1 デースケドガーの歴史⑥
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕9
デースケドガーの遊び方 How to play The Dayskit Dagger
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕10
満州式デースケドガー ルールとレート
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕11
デースケドガーに関する考察その2 著名人に聞く②
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕12
デースケドガーに関する考察その2 著名人に聞く③
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕13
デースケドガーに関する考察その2 著名人に聞く④
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕14
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕15
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕16

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕17
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕18
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕19
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕20
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕21
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕22
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕23
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕24
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕25  
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕26
FOOLS GOLD〔デースケドガー〕27
エピローグ
あとがき ***********************************************************************************

おまけ

デースケドガー旅行記

Push!Push!Push!

人気blogランキング

AD
いいね!した人  |  コメント(2363)  |  リブログ(0)
2005-05-04 01:47:21

あとがき

テーマ:デースケドガー

あれは全て観客を楽しませる演出だったのだろうか?ドス男は広告屋が絡んでいることを言及していた。ディーラーは凄腕のマジシャン。電気イスなんて相手が本当にその電圧を受けているなんて調べようがない。そして五体満足な彼女。しかし、あの時の彼女が全て演技だとは僕にはとても思えなかった。それでも、全てが演出だとしても、いいような気がしてきた。僕はあのどこか憎めない親分に勝手にキャスティングされた。一晩のギャランティとしてはハリウッドの超一流のアクター並。そして巧妙な脚本。悪くない。平凡な一人のサラリーマンライフを壊したがただそれだけだ。

 

この物語は2005年2月5日に書き始められ、同じ年の年5月4日に書き上げられた。SEOコンテストに乗じて、僕の物語を綴ってみました。幾分脚色してあるが、基本的には実際の出来事をトレースしただけ。文章化することで、この件について検証してみようと思ったのだ。その意味でこのコンテストに感謝します。このコンテストが無ければ小説なんて書こうと思わなかったから。コンテスト期間中に完成はできなかったけど、そのへんはご愛嬌。

 

それからコメントをくださった皆さんに感謝です。暖かい励ましの言葉が無ければとても最後まで書き上げることはできなかったでしょう。

 

最後にこの作品は僕の妻とかわいい息子に捧げます。


(了)



Push!Push!Push!

人気blogランキング


AD
いいね!した人  |  コメント(16)  |  リブログ(0)
2005-05-04 01:36:41

エピローグ

テーマ:デースケドガー

あれから3年が経過した。僕はあの出来事のあと会社を退職し(あたりまえだ。視力は回復し生活に支障は無かったが、急に小指を2本無くし、頭髪も真っ白になってしまったのだから。とてもサラリーマンを続けることはできなかった。)それまでの貯金を元出にして、JAZZ BARを開いた。場所は新宿2丁目だ。

 

2勝負目が終了した後、僕はヤクザの親分と会い約束通り1,000万円をもらった。勝ち金と合わせて1,800万円になった。そのお金にはまだ手を付けていない。あそこで貰ったボストンバックに入れたまま、店の奥に放り投げてある。この金は僕が身を犠牲にして得た金ではない。愚かな世界の愚かな住人になり愚かな脚本に準じた愚かな出演者への愚かなギャランティだ。いくつものマイナスな現象がもたらした負の産物だ。自分の愚かさを忘れないように捨てないで傍に置いておいた。

 

なにもかも終わった後、例の親分に気に入られたのか、組へ誘われた。僕は柄ではないので丁重にお断りした。翔さんみたいに男気があれば良いかもしれないが、僕には無かった。Vシネマを観ているだけで十分だ。

 

ニューオーダーが新譜を発表した。相変わらず極上のポップソングだ。彼らみたいに演奏の下手糞なバンドがかくも長くリスナーに受け入れられているのは奇跡だと思う。リグレットで「名前も住所も忘れてしまったよ」とうそぶいた彼らだが、今回は「全てが間違いだ。君の所為ではないけれど。君がいなくなって僕はどうすればいいのだろう?」といつもより素直に心情を語っている。

 

一度、新宿のBARでディーラーを見かけた。彼はステージの上に立ち、マジックショーを開いていた。その時一緒にいた連れに聞いたのだが、最近人気の凄腕スタンドアップマジシャンだそうだ。するとあの時の僕の印象は間違っていなかった事になる。僕と目が合った時、彼は微妙に目の光りが変化した。それは本当に微妙だったので、もしかしたら照明の加減でそう見えただけだったかもしれない。その後は見事な手さばきで客を魅了していた。相変わらずクールな男だ。

 

新宿駅で彼女を見かけた気がする。雰囲気は大分違っていたが、あの口元のほくろと胸の大きさは彼女だと思う。僕は咄嗟に左の小指に視線を這わせたが、そこにはきれいに指が5本連なっていた。彼女はチャカカーンだったのだろうか?

 

店は水曜日が定休日だ。理由は一番客数が少ないから。そして日曜日と月曜日は店を23:00に閉める事にしている。毎日明け方まで営業していたら赤字になってしまう。それでなくともなんとか営業している状況なのだから。そして月曜日には店を閉めた後、ローリングストーンに寄り、小1時間ロックを聴く。もちろん踊りはしない。カウンターでジントニックを飲みながら、――僕はジントニックが好きだ。ギムレットやマティーニだと自分もバーテンも周りがこころもち緊張してシリアスになる。その点ジントニックは平和だ。誰もジントニックに真剣さを求めない。平穏の象徴――70年代と90年代のロックに耳を傾ける。そして80年代と現代のロックにもほんの少し。

 

リクエストするのはニューオーダーの「ブルーマンデー」とストーンローゼズの「フールズゴールド」

僕の若かりし日々。気恥ずかしく、切なく、無防備だったあの頃。

 

「フールズゴールド」のイントロダクションが流れた。レニのドラミングが店内に響く。僕は学生時代を想い、そしてあの時僕の身に起きた奇妙な出来事に想いを馳せる。

 

 

おわり

 

Push!Push!Push!

人気blogランキング



AD
いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)
2005-05-03 02:32:41

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕27

テーマ:デースケドガー

「レイズ オア コール?」

ディーラーが彼に問い掛けたが、彼も長考していた。当然だ。デースケドガーは認識と想像力のゲームだ。僕がレイズアップする金額、タイミング、声色、あらゆることを考慮して、推理の基盤とするのだ。手本引きよりゲーム内容が単純な分、よりその性格は顕著だ。簡単に答えをだすのは、想像力が弱いからだろう。彼も一回戦を勝ち上がってきたのだから、当然楽な相手ではない。

 

「レイズ オア コール?」

僕が500万にレイズアップしてから、10分は経過しただろうか?あるいは永く感じたが実際には5分くらいだったかもしれない。2回目にディーラーが訊ねると彼は何も言わずにディーラーに札束を投げ捨てた。僕はその行為を目で見ていたわけではなく、ドサッという音がしたので、かなりの札束をレイズしたのだと思った。マナーの悪いやつだ。賭場には賭場のマナーがある。きたない野郎だと思ったが、思い直した。それだけ彼も必死なのだ。こんな状況下でマナーを求める方がどうかしている。

 

僕は再度岐路に立つ事になった。またレイズした金額が分からない。こんどは指で清算しなくてはならない。先ほどの音から判断するとかなりの金額だろう。できればコールして金額を合わせたい。あるいは今度こそ勝負を降りるか。今回は金額を訊ねても不自然ではないだろう。彼はアップした金額を言わなかったし、札束も多くなり一目ではいくらかわからないだろうから。僕はディーラーに向かって幾らですかと訊ねた。その刹那、彼は僕に向かって「ウィナー」と叫んだ。

「?」

僕はわけがわからずテーブルの向かい側、相手の方を見た。先ほどまでそこにあった黒い塊、車掌さんがいなくなっていた。先ほどの音は彼がイスから転げ落ちる音だった。きっと1試合目で既に限界にきていたのだろう。彼が倒れたその瞬間に僕の勝利は確定的だったはずだが、視界が悪くなっている僕はディーラーに宣言されてやっと理解した。僕は勝利したのだ。生き延びたのだ。やっと開放されるのだ。そしてこのくそったれな世界と縁を切ることができるのだ。

 

彼がどんな状態でいるのかはわからないが、彼女同様凄惨なのだろう。クールなディーラーは僕を「ウィナー」と讃えた。

「勝者」

僕はその意味を考えた。どこかで笑い声が聞こえた。それはとても大きな笑い声なのだが、どこから聞こえるのかすぐにはわからなかった。この部屋には3人しかいないはずだった。倒れた勝負相手の彼とディーラーと僕だ。倒れた彼のはずがない。ディーラーも笑うはずがない。彼は中立の立場だし、それにクールな彼がそんな笑い方をするわけが無い。笑っているのは僕だった。こんなに大きな声で笑ったことがないので、すぐには自分の笑い声と気付かなかった。もちろん、生き延びたのがうれしくて笑ったのではない。気が触れたのでもないと思う。勝者と自分が讃えられたことに対してだ。

 

勝者。僕がこの二つの勝負で得たものはなんであろう?そして失ったものはなんであろう?得たものと失ったものを比較して、たとえ幾ばくがプラスだったとしても、それが勝者といえるだろうか?僕は勝者ではない。サヴァイバーだ。

 

僕は笑い続けた。そして涙した。

 

 

 
Push!Push!Push!

人気blogランキング


いいね!した人  |  コメント(6)  |  リブログ(0)
2005-05-02 23:19:15

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕26

テーマ:デースケドガー

正直に言って、自棄になっていたのかもしれない。僕はもっと目をこらしてカードの数を理解すべきだったのかもしれない。大金や自分の身体が賭けの対象になっているこのゲームで僕は文字通り盲目に勝負しているのだ。それが、勝負事として正しいことなのか自信が無かった。正しいという言葉は御幣があるな。それが自分にとって有利に働くか否かわからないということだ。僕はファーストベットの100万円をディーラーに放り投げながら、そのことについて考えを巡らせた。今回がいくら勝負になるのかは分からない。相手がどれくらいまでレイズアップするのか。彼も状況はそう変わらないだろう。決して、楽ではないはずだ。どちらにしても早く勝負を終わらせたいに違いない。さすれば、この勝負のレートはインフレ化するだろう。そんな高レートを盲目で勝負している。だが、今の視界ではどちらにしても、はっきりとカードを見極めることはムリだ。それにうまくやらないと僕のキズ(ほとんど目がみえない)がばれてしまう。キズを相手に知られれば、負けたも当然だ。無用に時間稼ぎをされるかもしれない。あるいはサマを使うかも。ヤクザが仕切る賭場で、サマは普通ご法度だ。ただギャンブルの世界ではこう考える場合もある。「ばれないサマは技術である」と。要するに見抜けない方が間抜けなのだ。そういう意味でも僕はまさに崖の淵に立たされていた。だからこそ、盲目に自分の手を決めたのだ。

僕は自分の考えが無限にループしていることに気付いた。おい!しっかりしろ!お前が考えることはただひとつ。どのようにして生き延びるかだ。それこそがこのゲームの本質、サバイバルゲームという本質なのだから。「-にレイズ」サバイバルゲームという、、、、、、、、。まずい。聞き逃した。彼はいくらにレイズしたのだろうか?ディーラーの前には幾ばくかの黒い塊があるような気がする。いくらレイズしたのか、訊ねようとして思い留まった。普通、ズクは100万円で一束だ。2本か3本か4本かそれくらいなら、ディーラーの目の前にある金の山を見れば分かる。それを聞き返すのは、野暮というものだ。だが、いくらレイズしたのか分からなければコールしようがない。今回は勝負を降りるか。いや。待て。こんな風に毎回勝負が推移すれば、確実に自分は破滅する。もう自分には後がないのだ。はっきりと認識しろ。そう。もう自分には後がないのだ。

 

僕は持ち金の全て、500万にレイズアップした。彼がそれ以上賭けたかもしれないが、その時はどちらにしても現金がないのだから、残金に相当する指を教えてもらえばすむことだ。こんな状況だ。引き算ができなくても怪しまれないだろう。僕はもう一度相手の方を見据えた。

 

今度は彼が考える番だった。

 


つづく



Push!Push!Push!

人気blogランキング


いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)
2005-04-28 01:51:08

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕25

テーマ:デースケドガー

最終戦。なんとしてもサヴァイブしてみせる。僕はできる限り瞳に力をいれて、目の前の相手を見据えるふりをした。ふりをしたのは目が見えないことが相手に知られたくないからであった。ギャンブルでキズを相手に知られることは致命傷だ。それはある意味目が見えないことそれ自体よりも。

この部屋が明るくしてあるとはとても思えなかった。テーブルの向かい側の相手は輪郭がおぼろげにわかる程度で、どんな顔をしているのか、年齢はいくつくらいなのか、さっぱりわからない。雰囲気で男であることはわかる。銀河鉄道999の車掌さんを相手にしているみたいだ。

この最終戦、僕がとった作戦は短期決戦だ。理由としてまず、同じ身体を酷使するならば、レートは高いほどいい。いや、というよりも高い方がまだましだ。目一杯レイズして勝負に望むつもりだった。もう一つの理由が視力の問題だ。今はまだなんとか見えているがいつ全く見えなくなるかわからない。僕の視力は時間を追って悪くなっているようだった。カードが判別できるかどうか心配だ。もちろん、よく見えなくても明かりに掲げたり、目を近づけたり、目を凝らしたりもできない。先に述べたように相手に自分のキズを知られてしまうからだ。

 

勝負が始まる前にディーラーが僕らのイスの電圧を上げた。一気に上げようが少しずつ上げようが、電気イスは電気イスだ。マッサージチェアとは違う。またお尻に衝撃が走った。

僕は200Vだが、相手は何Vなのだろう?僕よりも長く1回戦を闘っていたということは僕よりも多いかもしれない。相手には悪いがそう願った。

 

5枚のカードが配られた。自分のカードを引き寄せ中身を見た。よく判別できない。まず数字が分からない。マークの数で判断するしかない。「1」「2」「3」などの小さい数はなんとか判別できそうだ。絵札も絵柄が潰れているから判別できる。あとは「4から6」「6から7」「7から10」まではちょっと見ただけでは判別できない。僕は考えているふりをしながら、カードを凝視した。

 

僕は長考した。僕のカードは絵札が1枚、多い数(8か9か10)が2枚、中頃の数(4から6)が2枚だった。絵札を真中にして多い数で挟めば、たいてい強い目になる。ただし数字のカードが「10」だと最悪なことになる。そしてデースケドガーの位置に来る数は強い目もしくはとても弱い目だ。デースケドガーがブラックジャックと一番違うところは普通の目(例えば6)では勝てないというところだ。「普通の目」をつくるくらいなら、「強い目もしくは弱い目」のほうがいいのだ。

僕は意を決し、絵札を真中にして開示し残りはカードを伏せテーブルに並べた。

 


つづく

 

Push!Push!Push!

人気blogランキング


いいね!した人  |  コメント(4)  |  リブログ(0)
2005-04-26 01:07:12

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕24

テーマ:デースケドガー

ブラックアウト。

空軍のアクロバットチームが戦闘機でループしたりスクリューしたりして機の性能や操縦の技術を見せ付ける。スクリュー時には極度の重力が頭にかかり血が昇り、パイロットの視界は赤く染まる。この状態がレッドアウトとという。逆にループ時には重力が足にかかり、頭の血が極端に薄くなり、パイロットの視界は暗くなる。この状態がブラックアウト。プリントのネガフィルムみたいに、平面で光りのない世界。

 

「おい、そろそろ起きろ」

ドス男が僕を揺さぶった。この男に起こされるのは何度目だろうか?まるで十年来の友人と思い違いをしてしまう。まだまだゾウのように眠りたかったが、なんとか自分を奮い立たせ、身体を起こした。眠っている間に、ドス男が灯りを消してくれたらしい。部屋は暗かった。

「今、何時だ。それと灯りを点けてくれ」

「3時になったところだ。次の勝負は3時半から始まる。10分前には席に着かなければならない。」

「それから、灯りは既に点いている。見えないのか?」

鼓動が強く響き、早くなった。ドス男が喋っている方向へ目を凝らしてみた。人の姿はおぼろげに感じ取れる。だが顔も服装もわからない。自分の手のひらを見てみた。なんとなく手のひらがあることはわかる。試しにひとさし指のだけ伸ばしてみた。一本だか二本だか三本だか区別できなかった。照度でいえば0.005Lux。夜、星明かりのみの視界状況。

「見えない。これでも勝負を続けなくてはいけないのか?」

「もちろん。完全に見えないわけではないだろう?ただ部屋を最大値に明るくするようにする。デースケドガーではよくあることらしい」

やれやれ。こんな状態でカードを扱わなければいけないのか。僕は溜息をついた。とてもとても深く。あまりに深い溜息なので、目が悪くなっていなかったらきっと目に見えたに違いない。

 

 

つづく

 

Push!Push!Push!

人気blogランキング


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005-04-24 01:12:08

FOOLS GOLD〔デーセケドガー〕23

テーマ:デースケドガー

彼女が部屋を出て行った後、ディーラーが僕に向かって勝利を讃えた。僕は勝利したことに何の喜びを見出す事はできなかった。生き延びた事に対する安堵感とまだあと1試合戦わなくてはならないことへの絶望感とで不思議な感覚に見舞われた。そのなかには彼女に対する罪悪感も入っていたかもしれない。罪悪を感じたのは、彼女を負かしたからではなく、この勝負に巻き込んでしまったのは僕の所為のような気がしたからだった。もちろん、実際の状況は逆だ。この奇妙で残酷な世界に僕を送り込んだのは彼女なのだから。

 

 

「ウィナー!」ディーラーの声が聞こえると同時に電気イスの電源が落とされた。急に身体が軽く感じられたが、震えは止まらなかった。傍からみれば、アルコール中毒の症状となんら変わりない。逆に電流が止まった為、余計に自分の震えが気になった。

ディーラーに促されて、僕はなんとか一人でイスから立ち上がりこの部屋を出た。身体をふらつかせながら廊下を歩き、2個隣りの部屋へ案内された。部屋の大きさは先の部屋と同じであったが、カードテーブルはなく、変わりに二人掛けのソファが置いてあった。僕はソファに倒れこんだ。

 

 

「よくやったな」

いつのまにか、ドス男が傍に居た。身体を起こして殴りかかってやろうと思ったが、身体が動かなかった。完全にスイッチが切れてしまったようだ。文字通り僕は指一本動かせなかった。代わりに言葉で悪態をついてやろうと思ったが、喋る気力さへ無かった。あきらめてまた目を瞑った。

「返事はしなくていい。黙って聞け。お前はまず1勝したが、もう一勝負ある。別の部屋でも勝負が行われていたが、まだ終わっていない。その勝者とお前は決勝を行う。その勝負に勝ってやっとお前はこのゲームから開放される。賭けで入手した金額とボーナス1千万を貰ってだ」

「次の勝負がいつ始まるかはわからない。たぶんあっちの勝者にも休憩時間が多少もらえるはずだ。正確な時間は俺でも分からないのさ。オヤジと広告屋で決めるんだ。どちらにしても早くケリをつけたお前は多く休憩できる分、有利だ」

「電圧は前の状態から始める。一度に上げるわけではない。すこしずつ電圧を上げて前の電圧まで上げるんだ。だから、安心しろ」

安心?いったい何を安心するのだ?あまりに疲れていたので厭味の質問さへ言葉にすることができなかった。どうせ口にしたところで厭味と認識してくれるか怪しいものだ。

ドス男は灰皿もないこの部屋で煙草に火を点けた。なつかしい香りがした。

「――は今、医者に診させている。別に死ぬようなことじゃない。ただ精神的にもつか、そっちが心配だ。まあお前が責任を感じることではないがな」

「タバコ」

「何だって?」

「タバコをくれ」

「ああ。いいだろう」ドス男は吸っていたタバコを僕にくれた。男からそんな風にタバコを貰ったの初めてだったが、気にしなかった。僕は二口吸ってから、部屋のスミに指で弾いた。ハードな一日だ。しかもまだ終わっていない。

 

 

僕が弾いたタバコをドス男が踏みつけるのを見届けた後、僕はすぐに眠りに落ちた。 

 

 

つづく 

 

 

 

Push!Push!Push!

人気blogランキング

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2005-04-20 01:55:23

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕22

テーマ:デースケドガー

音がした。骨を鋭利な刃物で切り取る音だ。その音は自分の指を切り取った時よりも大きく響き、その居心地の悪い空気の震えが、僕の頭の中でこだました。

切断された指は、器具から5センチほど転がった。彼女は自分の指が切断される間際まで自分の指を見つめ、そして切断した後は、転がった指ではなくかつてそこに存在した指の不在を見つめ続けた。

彼女は声も出さず、目も瞑らず、ただじっと、指先を見つめていた。たっぷり1分はそのままでいたが、ゆっくりと時間をかけて白目を剥き、突然、突っ伏した。彼女の額とテーブルがぶつかり鈍い音がした。

 

ディーラーが彼女の様子をうかがい、両手を頭の上で交差した。

それが終了の合図なのだろう、医務院やらが部屋に入ってきて、担架で彼女を運び出した。

勝負続行不可能で決着がついた。

僕の勝利だった。

 

 

 

つづく 

 

 

 

Push!Push!Push!

人気blogランキング

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2005-04-19 01:40:26

FOOLS GOLD〔デースケドガー〕21

テーマ:デースケドガー

前回につづいてビッグゲームになった6勝負目、流れは僕にあるといっていいだろう。このゲームは天王山というよりもむしろクライマックスになるはずだ。いまの僕に指を失う怖さなどない。(もちろん慣れたとはとても言えないけれども)むしろ電圧の方が恐怖だ。彼女は最初にデースケドガーを宣言したので、このままなら僕の目は最強の「9」だ。負けはない。

僕はデースケを宣言した。僕も彼女も宣言を変更しなかった。よし。また勝てたぞ。勝利を確信した刹那、彼女がとても小さな声で囁いた。

彼女の声はあまりに細く、よく聞きとれなかった。ディーラーが促すと今度ははっきりと口にした。

「NO!」

彼女は僕の宣言「デースケ」を否定したのだった。僕は一瞬訳が判らなかった。それは彼女が否定を購入するなんて思いもつかなかったから。なぜなら、なぜならこの局地的な限定的な閉ざされた世界にあって、彼女は「NO」という言葉を知らないはずだった。少なくとも僕はそう考えていた。だけどそれは間違いだった。そうだ、思い違いなのだ。初めて彼女を駅のホームで見かけた時、それはとても昔のお話、この奇妙な世界とは無縁の日々、彼女はナンパしにきた白人に向かってはっきりとNOと叫んだではないか。そう。彼女は否定する権利があるし、またその勇気も併せ持つのだ。

 

 

僕は「デースケ」を「デースケドガー」に変更した。彼女のカードも僕のカードも「9」でイーブンだった。金額も動かず、二人とも電圧はそのままだったが、彼女の前に例のきゅうり切断機が運ばれてきた。彼女は取り乱す事も目を瞑ることもなく、堂々と指を差し出した。その姿は決して自暴自棄になっているのではなく、恐怖で感覚がマヒしているのではなく、あきらめているのではなく、あらゆる事象をあるがままに受け入れている姿であった。かつて僕の人生で、この時の彼女ほど崇高な女性を見たことはなかった。

 

 

つづく

 

 

 

 

Push!Push!Push!

人気blogランキング

いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。