ガリ版実験室作品展Ⅲ、7/16まで開催中。
ガリ版実験室のきっかけは、ガリ版の版画としての歴史の面白さ、道具の骨董的趣味のよさ、などなど、
限りなくマニアックなところからスタートしました。もちろん、スケッチがそのまま版画になることへの興味も大きいものでしたが。日本画を描くものどもで「ガリ版やりたい」で盛り上がり、今に至ります。
会員になるには、まず謄写版を一台救出することが条件です。
事務用品として、印刷機として生活空間の近くにあった謄写版。
オールインワンな日本的で合理的な仕様。木と金属のちょうどいいバランス。
仕組みが簡潔でメンテナンスも自分でできそう。
きっと死ぬまで大事にできそうな道具。とてもいい。
そして、3回目の作品展になっても、まだまだ新しく発見したり、感動したりできる、楽しさ。
今回は、戦前の謄写版のこだわりをまじまじ見つめて、話しました。
昭和8年頃(?)製造らしい謄写版。堀井の支店名の記載に、上海。まだ大陸の一部に日本のあったころ。
箱の作りに注目。
箱の板のつなぎ目、ホゾ組が細かいこと!
5ミリくらいで刻んである。合板もない時代ですから丈夫な一枚板、だとしても、
ここまでの仕事は!半分くらいの刻みでも十分強度は保てるだろうに。
しかも、すべての角が面取りしてある。
相当の高級品だったのか、職人の心意気なのか!
当時のあたりまえ、なのか。スバラシイ仕事、これだから残るのだろう、とも思えます。
実験室の面々、これで2時間は話せます(笑)
これは、ヤスリの説明書。
原版はガリ版で作ってある!文字も、カットも、表紙絵も。
これはオフセットで印刷されているようですが、元原稿はガリ版。
↑これ、手書き。
手書きの文字もよく見ないとわからないレベルのクオリティ。
ガリ版のプロが「こんなにできるんですけど」って
黙々とガリ切をしている姿が見えるような紙面。
明朝体みたいに打ち付け、止めがあるし、払いは決して投げていない!
払いの先まで細くきちんと書いてある。
鉄筆で書道をしているかのような、フォント。
文字は3㎜のマスにきっと、きっちり入っている。
こんな文字を書くには、説明書にある通りに鉄筆を削り、紙の向きを意識して文字を切ることが必要。
イタリックの説明欄の文字は、何気に斜体!すご。
細部まで気持ちが行き届いている。
古の仕事の凄さをまじまじと見せつけられ、なんかうれしくなる。
ガリ版にかかわることは、色々な欲を満たしてくれてとても楽しい。
道具が既に作られてなくて、今あるのを大事にしなきゃな感じも、きゅんとする。
スケッチがガリ版版画になると、ぐっとそれだけで完成した感が上がる感じ。
絵描きにとってとても魅力的。これ、版画の魅力だけど、
ガリ版にはプラス、骨とう品趣味とコレクター心を揺さぶり、
付喪神になりそうなものものを寄せるトコロもあって、たまに困ってしまいますが(笑)
一枚目の写真に写り込んでいる機械、手動のチェックライター。小切手とか借金証書とか打つやつ。
リサイクルショップのジャンク品の山で寝ていたもの。
どっかの会社の事務所で使われてたんだろうな、事務服のお姉さんが目に浮かぶよう。
断捨離流行りの世の中に、ふるもの救出隊になってしまう人なのでした。
ふるもの救出の話をしだしたらまた長くなるので今日はこれまで。
久々に勝手に長く書きました。



