@応鐘の実①237「奇胎 1」 | 青くんの部屋

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※ 櫻井ママ登場、智いる病院に駆けつけます。

 

 

 

 

 

 

私はローズ婦人に連絡を貰って激しく動揺していた。

櫻間病院のHCUに智くんは緊急入院しているそうだった。

なぜ彼女が私の居場所を知っているのかも気になったが、今はそれどころじゃない。

 

 

<お身内の方ですか…?>

 

 

え…

 

 

「……叔母です。」

<では…こちらにご記入下さい。>

 

 

昔と違ってセキュリティーが厳重になっていることに、ほんの少し戸惑いを覚えながらも少し考えて 「櫻井芳野」 と記名した。

後でどうなるかなんてこの時は考えていられなかった。

他の病棟とは隔絶されたそのフロアーの一画に進む。

何てこと…

智くんは首から肩にかけて、それから両手も包帯でグルグル巻きにされた状態で横たわっていた。

繋がれた点滴。

 

 

「食事は出来ないんですか…? 点滴だけ…?」

<すこし流動食を食べはじめましたけど、この状態だと咀嚼動作自体が苦しいので点滴が必要なんです。>

「そんな…。」

<でも、回復は順調です。

もうじき皮膚が出来上がってきますから、それまでの辛抱ですよ。>

 

 

親切そうな看護師がそう伝えて出ていく。

私は智くんのそばへと近づいていった。

やけに青白く少し痩せた気がする。

眠っている瞼たが微かに震える。

え…

次の瞬間、瞼がうっすらと開いた。

不思議そうな顔…

 

 

『よこ…山…さん…?』

 

 

あ…

 

 

『…。』

 

 

だが、それからだけだった。

智くんは疲れたように再び深く眠りだしていた。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆ 櫻間病院HCU

 

 

 

 

 

 

ここのHCUステーションに入るのは一々面倒な手続きが必要だった。

24時間体制で監視が行われている。

 

 

「ICUから移動してきた大野さんの容体はどうかな…?」

《大野さん…? ああ、熱傷の患者さんね。

傷なら安定しているわね。》

 

 

彼は一応櫻井家の御曹司だ。

何か不手際があれば、それはこの病院の沽券にかかわるだろう。

引退をしたと言っても櫻井家に一番近い親戚の櫻間氏が知ったらお怒りになるに違いない。

 

 

〔おじゃまいたしました。〕

 

 

背後から小さく声がかかった。

それが、この時妙に引っかかった。

向かいにいた看護師が連られたように軽く会釈する。

長い髪の女性…

後ろ姿…というか感じが誰かに似ている気がした。

…?

咄嗟に思い出せない。

そんな思案してる俺のすぐそばに、ここの看護師が慌てた様子でやってきた。

 

 

<ねえ、今女の人が出て行った…?>

《ええ、さっきの人でしょ…? 帰ったみたいね。》

<そうか、残念…。>

《どうしたの…?》

<大野さん…今、起きたのよ。

心配してらしたから、せっかくなら話したらよかったのに…。>

「今の女性って、大野さんの親戚の人…?」

<ええ…そうよ。 どうかした…?>

「いや…気が付かなったな…っと思って…。」

 

 

親戚だったか。

それで…

気になった理由が分かってそっと名簿を確認する。

櫻井……

 

 

「芳野…?」

《知らない人…?》

「まさか…逆だよ。」

 

 

櫻井芳野なら知ってる。

サクライの女王さまだ。

 

だったら、さっきの女は…

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆◆ 櫻間家

 

 

 

 

 

 

婿が亡くなった事を機に実家に戻るように娘に勧めたが、一向に従う気がないようだった。

自立するとか何とか言って働きに出ていた。

将真に関しては転校をさせたがっていたが、私が反対した。

将来の事を考えるとこのままの方がいいと説き伏せた。

第一に本人にその気がない。

転校などしてしまったらこちらの非を認めるようなモノだった。

一度逃げてしまうと逃げ癖がつく。

そんな弱い印象を持たれるのはどうしても避けたかった。

将真のためだ。

 

それなのに…

母親がまるで分っていない。

このことを考えても孫は本当によくやっていた。

しばらくの間の辛抱だ。

あれが犯人だという事になってはいるが、本人が自殺した事で事件の真相はうやむやに終わっていた。

何とでも言いつぶせるだろう。

いまは黙って起死回生の機会を待つだけだ。

 

 

<旦那さま。>

 

 

使用人が病院から電話だと知らせてきた。

櫻間病院に大野智が入院したという知らせはとっくに受けていた。

時期を見て親戚に見舞いに行かせようと考えていたところだった。

 

 

「ああ…君か…頑張っているかね…?」

<はい、ありがとうございます。>

「あの…櫻間さんにどうしてもお聞きしたいことがありまして。」

 

 

あの子供の事ではないのか…?

 

 

「なんだね…?」

<葉月さんて亡くなっているですよね…?>

 

 

 

 

「そうだが…なんだね…? 

あの事故の後、葬儀も大々的に執り行われただろ…?」

<いえ、僕はその…海外にいたので葬儀に参列はご遠慮させてもらいました。>

「それでも亡くなったのは知っていたのだろう。」

<はい、聞いたのは聞いてたんですけど…そうですよね。

すみません。 おかしな事を申し上げて…

では、その葉月さんに感じの似た親戚の方をご存知ですか…?>

「どういうことだね…?」

<親戚の方が大野くんのお見舞いに来られたんですけど…誰だかわからないんです。>

 

 

一体、何の話だ…?

 

 

<ちょっと葉月さんに雰囲気が似てるから気になってしまって…。>

 

 

彼の話は私を驚愕さるのに十分だった。


 

 

 

 

 

 

 

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