ヒメウ　姫鵜

英名：Pelagic Cormorant

学名：Phalacrocorax pelagicus

カツオドリ目ウ科ウ属

生息地：アメリカ、カナダの西部、ロシア東部などの太平洋北部周辺で繁殖。日本では北海道、北東北などで繁殖している。日本の他の地域では冬鳥。

全長：73cm

鳴き声:：ウァァァァ

雌雄：雌雄同色

日本の絶滅危惧種ⅠB類

2023年の干支は卯。そう、今年は“ウ年”なのである。ということで（少々強引だが）今回紹介するのは、日本に生息する鵜の仲間4種類。主役は鵜のなかでもっとも美しい羽をもつヒメウである。

ヒメウの群

ヒメウは本州中部以南ではそれほど一般的ではない冬鳥だが、北海道の東部では決して珍しい鳥ではない。海岸沿いの崖で群れる姿をかなりの確率で見ることができる。

嘴が白っぽく、目の周りが黄色いのがウミウ

北海道のヒメウの群には、他の鵜が混じっていることがあるので、注意が必要だ。確率が高いのはウミウ（全長84cm）。口角の黄色い部分が尖って見えるのが特徴だ。

口角の黄色い部分の後ろ側が尖っているのがウミウの特徴

長良川などの鵜飼で活躍しているのが、このウミウ。絶滅危惧種ではないが、生息域が限定されているので簡単に見られる鳥ではないように思う。

そして、この鳥が混じっていたラッキー！　というのが、チシマウガラス（全長84cm、日本の絶滅危惧種ⅠA類）。日本では北海道の一部でしか見られない、珍しい鵜の一種である。

真ん中あたりにいる、クチバシが白いのがチシマウガラス（冬羽）

最後は数が増えすぎてカラスと並ぶ害鳥の代表となってしまったカワウ（82cm）である。1970年代には絶滅が心配されていたというのに、河川の水質が改善されたことで餌となる魚が増え、現在では海にも進出、15万羽とも20万羽ともいわれるほどになっている。

顔が白くなった、繁殖羽のカワウ

黄色い部分の後方が尖っていないのがカワウ

環境が改善されるのはもちろんいいことなのだが、特定の鳥だけが増えてしまうのはいかがなものか。鵜4種がそろって繁栄する未来を願っている。

【参考文献】

街・野山・水辺で見かける「野鳥図鑑」（日本文芸社）