平成31年2月2日(日)13:00〜、新宿村LIVEにて。

作/横内謙介
演出/七味まゆ味

キャスト(登場順)/
ツトム:石塚朱莉
サヨ:河北琴音
白百:山本奈臣実
十五:三浦修平
玉野尾:丸山厚人
虎清:大西翔
黒百合:汐月しゅう
乳母:森下亮
千代:古賀成美
ゴロウ:七味まゆ味
悪霊:水紀憧子、るりこ、中嶋海央
(ダブルキャスト分は拝見した回の配役を記載)

ストーリー/
新聞勧誘員のツトムは放火魔だ。
彼は廃屋となった古びた幼稚園に放火をし、
そこでサヨという少女と出会う。

サヨはツトムが放火した晩には必ず現れる不思議な少女で、
顔は知っていたものの、話すのは初めてだった。

ツトムが幼稚園を放火したことをなぜか喜ぶサヨ。

すると、放火をきっかけに
700年前の人間たちが現代に次々と蘇ってくる。

怨霊によって呪いをかけられた人間、
身分違いの恋、武士や貴族の主従関係、
有象無象の人間関係に振り回されるツトムは、
やがて自分がすべきことは何かを考えはじめ…。
公式サイトより)


横内謙介さんが約30年前にお書きになった戯曲を七味まゆ味さんが演出。個人的に言えば、これだけでもう胸熱である。七味さんは長年にわたって横内さんのファンであると公言なさっているし、横内さんが主宰されている扉座公演の客席でもよくお見かけしていたからだ。

とはいえ、この劇団アカズノマの代表は七味さんではなく、主人公のツトムを演じた石塚朱莉さん(NMB48)だ。

ご自身が生まれる前に書かれたはずの戯曲を選び、髪を切って、かつて六角精児さんや稲垣吾郎さんが演じた気弱な青年を演じる。演劇が好きだという思いが伝わる。

放火魔の少年と奇妙な少女が焼け跡で出逢った、いにしえの物語。

七十数年ぶりにあの箒星が現れた夜、火を放つことで解ける呪い。次々に蘇る武士や悪霊や姫君。

扉座からご出演の三浦修平さんが演じた武士の十五は武骨な役柄に繊細さや弱さがにじんで、乳母(十五にとっては母)役の森下亮さんの柔らかさの中に底知れない怖さを感じさせる演技共々印象的だった。

七味さんは演出だけでなくご出演もされていて、短いながら重要な役割で気を吐いてらっしゃった。

なりより、ホント久々に物語の面白さに没頭した。そうだ、自分はこういう話が好きだったのだ。このところ好みが変わってきたと思ったけれどそうでもなかったらしい。やはり好きなモノは好きなのだ。

ドラマチックな中に痛みもあれば毒もある。観ているうちにツトムだけでなく、観客も傍観者ではいられなくなる、そういう物語を堪能した。