ドキドキさせてよ-別館-

kikiのお気楽観劇記録とその他もろもろ


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平成29年8月23日(水)19:30〜、25日11:00〜、26日(土)19:30〜、26日(日)13:00〜、吉祥寺シアターにて。


 愛されて0.000000285388128世紀。

 6つの団体がそれぞれ15分ずつの短編作品を一挙に上演するオムニバスイベント『15 Minutes Made』で2007年8月に旗揚げした私達Mrs.fictions、おかげさまで今夏10周年を迎えます。長年のご愛顧に感謝すると共に、単純におめでとうって言って欲しい気持ちが先走って企画した『15 Minutes Made Anniversary』ですが、大仰なタイトルに負けないちょっと笑ってしまう感じのラインナップが揃いました。15分なんて皆様の人生(130年くらい?)に比べたらほんの一瞬の出来事ですが、予告でも試食でもない15分の可能性を信じ続けた10年間の最新版を是非ご覧ください!吉祥寺シアターにて!

☆団体名、作品名、作・演出、音楽、出演(上演順)

団体名/柿喰う客
作品名/フランダースの負け犬
作・演出/中屋敷法仁
音楽/入交星士
出演/七味まゆ味、深谷、葉丸あすか、田中穂先

団体名/吉祥寺シアター演劇部
作品名/ハルマチスミレ
作・演出/堀越涼
演出助手/金子侑加(あやめ十八番)、白石ほなみ(ましかく企画)
音楽/吉田能(花掘レ)
出演/市村友里江、伊藤美紅、内田幸花、紙屋陽子、齋藤龍之介、里吉うたの、庄司ゆらの、中野亜美、西室桃花、一楽、古川佑紀、室井美生

団体名/梅棒
作品名/BBW
作・演出/伊藤今人、遠山晶司
出演/伊藤今人、飯野高拓、鶴野輝一、遠山晶司、遠藤誠、櫻井竜彦、野田裕貴(以上、梅棒)、池田遼(少年王者舘/おしゃれ紳士/ホナガヨウコ企画)、正安寺悠造(DACTparty/隕石少年トースター)、原田康正(劇団昴)、五十嵐結也、KENZO MASUDA(GANMI/X'RATED CREW)


団体名/演劇集団キャラメルボックス
作品名/ラスト・フィフティーン・ミニッツ
作・演出/成井豊
出演/筒井俊作、渡邊安理

団体名/地蔵中毒
作品名:/想いをひとつに
作・演出/大谷 皿屋敷
出演/栗原三葉虫、関口オーディンまさお、鈴木理子、かませけんた、宇都宮みどり、東野良平、フルサワミオ、hocoten、立川がじら(落語立川流)、武内慧(東京にこにこちゃん)、礒村夬(グッドラックカンパニー)


団体名/Mrs.fictions
作品名/私があなたを好きなのは、生きてることが理由じゃないし
作・演出/中嶋康太
演出助手/鍋島菜
出演/岡野康弘、岡本篤(劇団チョコレートケーキ)、徳橋みのり(ろりえ)、森谷ふみ(ニッポンの河川)

終わりの会 アフタートークゲスト(拝見した回のみ)
23日(水)19:30 キャラメルボックス
26日(土)19:30 Mrs.fictions
27日(日)13:00 吉祥寺シアター演劇部
(公式サイト及び当日パンフより)

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公演チラシの裏面や公式サイトに記載された上記の文章中に「予告でも試食でもない15分の可能性」というフレーズがある。

Mrs.fictionsが継続して主催してきた15分の短編で綴るショーケースイベント『15 minutes made』。観に行けば、まさに『予告でも試食でもない』独立した作品としての15分を堪能できるだろう。

加えて今回は10周年の記念公演とのこと。それにふさわしい素敵な団体が集まっている。

ね、もう、この顔ぶれだもの、どうしたって楽しいよね。15分の作品1つ観て帰っても満足できるヤツなのに、それを6本。キラッキラの約2時間となった。


『フランダースの負け犬』
昨年の柿喰う客フェスでも上演された中屋敷さんの初期の名作を大胆にリメイクし、キャスト4人上演時間15分というコンパクトな作品にまとめた。

左右に分かれて立つ七味さんと田中さんの語りで物語の背景や状況を伝えつつ、深谷さんと葉丸さんの2人のやり取りに焦点を絞って展開する。

15分の作品があらすじでも序章でもなくきちんと一つの物語となり得るという、この15mm自体の象徴のようなできばえとなっていた。え、前に観たバージョンより好きかも、という意見もチラホラ。ただ、短時間かつ少人数でまとめたため説明等でハイテンポの語りが続き、一部聞き取りにくい部分があったのが残念。

一方、コンパクトになったことで4人のキャラがくっきりと立ち上がった。

ハイヒールを履き背筋を伸ばした七味さんと、揃いの黒いマニキュアをした田中さんが、「権力」や「打算」を象徴する。

理不尽な運命の中で葉丸さんが見せた笑顔と震えた声、そして非情になりきれず深い葛藤を感じさせた深谷さんの演技が、鮮やかに残った。


『ハルマチスミレ』
目が潤むとか、そういうレベルでなく泣いた。しかもなぜだか回を重ねるごとにますます涙が出て来た。

昼と夜ですれ違ってしまう恋人たち。
謝りたいことと許したいことを抱えた友人同士。
夢を追う少女とその友だちのどこか甘やかな関係。

やってられっか!と叫ぶ少女らとそれを見守る少年たち。

大なわとびを高校生活に見立てて、なんて言ったら、ご覧になってない方には何のことかわからないだろう。実際に観てみれば一目瞭然なのだけれど。

ステージに落ちた細長い光が、縄跳びのなわになり、電話線になり、あるいは他の何かになる。

縄跳びの掛け声として散りばめられた言葉が、物語のリズムを刻んでいく。

カーテンコールのたびに、目を潤ませる彼女らにつられて客席もまた涙を拭く。若い人のがんばりに向けた感傷だけでない、表現として確かに胸に届く想いがあった。

パッと咲いて散る桜でなく、慎ましく美しい小さい、これから春を待つハルマチスミレ。

美しく生きていきたいなぁ。と叫ぶ少年。
ひとつのりこえるたびに、人は美しくなれるのです、という少女。

歳を経てもなお、そういう美しさの小さなかけらを大切に抱えていたいと、そんなふうに思うのだ。

この会場でこの枠組の中で上演された彼らの舞台。ある意味、公演全体を象徴する作品となっていたようにも感じられた。


『BBW』
台詞はほとんどなくJポップに乗せたダンスで展開するラブストーリー。

なんていってもまずは会場のノリノリ具合が楽しい。この団体のファンも大勢いらっしゃっているのだろう。ステージ上の彼らもよくわかっていて客席をあおる。

しかし、そういうライブめいた楽しさだけでない。

パフォーマンスとしてだけでなく、物語としての精度も高い。定型的なストーリーの中に登場人物の想いが生き生きと立ち上がる。

ヒロイン役のお二人が本当に可愛い。ダイエット後を演じる野田さんはもちろんだけれど、ダイエット前の役の原田さんも仕草や表情がむっちゃ可愛い。しかも動きがキレッキレである。

ヒロインだけでなく、今人さん率いる応援団。天使と悪魔、ケーキ屋のお二人、インストラクター。それぞれのキャラが印象的で楽しかった。


『ラスト・フィフティーン・ミニッツ』
重たい展開の物語を軽やかに笑いを多めに含ませながら、しかし切実に描く。

三歳の娘に向ける両親からのビデオレターは、まもなく爆発する宇宙船の中から送られるものだった。

愛する娘に言い残したいこと。

15分という限られた時間の中で、娘への説明として観客に状況を伝えつつ、2人の出逢いとここに至るまでの人生を描き出す、細密な脚本。それを軽やかに、チャーミングに立ち上げていく筒井さんと渡邊さん。

ほっぺについたカルボナーラ、いや、雪のひとひらを、彼女がぬぐう。冒頭から中盤、そしてラストへ引かれた伏線を回収する台詞がキレイに決まる。

チャーミングで切ない物語。あるいはここから2時間の物語が始まるのかもしれない、と思ったりもした。


『想いをひとつに』
何ごと?何なの?と思いながら、そうとう笑った。

原宿にやってきたオシャレに無縁の女の子たち、おしゃれ三銃士(?)、編集者たち、デザイナー、人間に一番近いゴリラ(??)、ガンジー(???)。

次々と繰り出される台詞やアイテムの脈絡のなさがホントに可笑しい。こういうのをいったいどうやって考えつくのだろう。

他の団体とのバランスもあってか、ウワサを聞いて予想していたより下ネタは少なめだったけれど、回を追う毎に人数が増えたり(他の団体のキャストが加わったりしていた)、なにげにバージョンアップしている辺りも可笑しすぎる。

ゆる〜くふざけているようで、実はいろいろ確信犯なんじゃないかと思ったりもする。

緊張感に満ちた作品が多かっただけに、ここにこの団体が加わるというのはいいバランスだったのだろうという気がした。


『私があなたを好きなのは、生きてることが理由じゃないし』
公演を観たあと友だちが、Mrs.fictions、印象変わったね、なんかあったのかなぁとつぶやいていた。

どうなんだろうなぁ。そういえば昨年の夏とか今回とか、以前とやや作風が変わっただろうか。そういえば時間の扱い方がとても印象的で、それがどちらもスゴく効いていた。

今回は、主人公が他の人々の縛られている世のことわりから逃れて自在に客席と関わったり、メタ発言をしたりする。その流れで指を鳴らすことで時間の経過を表したりするのだけれど、何度も指を鳴らしながら恋人を見守る主人公の表情を見れば、さまざまなことわりから自由になったとしても、人を想う気持ちはやはり消えずに胸に残るのだ。指を鳴らし続ける彼の表情は、思い返すだけで切なくなる。

それもまた生きてる者の思い描く希望に似た何かかもしれないけれど。

遺された人々の日々は確かに過ぎゆき、現実の暮らしが積み重ねられていく。それでも、その中で消えない想いはそれぞれの胸に形を変えつつ留まっているのだろう。

オバケのQ太郎をもじった登場人物のネーミング(久太郎、優子、おうじろう)など遊び心も相変わらずだけれど、なんていうか確かに変わってきているのかもしれない、と思った。

個々の人間のささやかな想いに寄り添いつつ、もう少し大きな、普遍的な何かがそこに感じられるような気がした。

4人のキャストがそれぞれに魅力的で、特にお父さんを演じた岡本篤さんがなんとも言えない味わいを醸し出していた。

懐かしいようで、でも確かにこれまで観たことのない物語がそこにあった。

これだから、Mrs.fictionsから目が離せない。


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公演が終わった後、Mrs.fictionsの公式サイトが更新された。誰もいないステージの写真と各参加団体の名称、そして終演のご挨拶。

いつもシンプルかつスマートな舞台美術だったけれど、今回の美術はまたいっそう素敵だった。

高い天井から下げられたたくさんの風船やミラーボールが空調でかすかに揺れる。そこに混じる白い円盤に、次の上演団体と作品名が表示される。

6つのそれぞれ異なるテイストの作品に応じて、さまざまな背景を思わせる抽象性と実際に目にしているときの美しさ。

美術だけではない、さまざまなスタッフワークも含め、アニバーサリーにふさわしい素敵な公演だった。

当日パンフに、Mrs.fictionsの今後の予定が記載されていた。鬼に笑われてもいい。今から楽しみにしない訳にはいかない。
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