アガリスクエンターテイメント十周年記念興行・第21回公演 『ナイゲン(全国版)』 | ドキドキさせてよ-別館-

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テーマ:
平成27年11月14日(土)18:00~、新宿FACEにて。

脚本・演出/冨坂友

出演/
淺越岳人
塩原俊之
鹿島ゆきこ
沈ゆうこ(以上アガリスクエンターテイメント)
榎並夕起
金原並央
甲田守
さいとう篤史
津和野諒
古屋敷悠(MU/ECHOES)
細井寿代
信原久美子(コ メディユニット磯川家)
斉藤コータ(コメディユニット磯川家)

あらすじ/
“自主自律”を旨とし、かつては生徒による自治を誇っていたが、
今やそんな伝統も失われつつある普通の県立高校、国府台高校。
ある夏の日、唯一残った伝統にして、やたら長いだけの文化祭の為の会議“ナイゲン”は、
惰性のままにその日程を終わろうとしていた。

しかし、終了間際に一つの報せが飛び込む。
「今年は、1クラスだけ、文化祭での発表が出来なくなります」

それを機に会議は性格を変え始める。
――どこのクラスを落とすのか。

かくして、会議に不慣れな高校生達の泥仕合がはじまった…!
(公式サイトより)

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いやぁ~、お・も・し・ろ・か・っ・た!面白かったよ~!!

劇団の代表作とも言うべき作品で、すでに何度か再演を重ねてきている。それゆえ、ということもあるだろう、よく練られた脚本だ。

伏線がビシバシ回収されていく爽快感に観ていて思わず声を上げそうになる。提示された条件や人物像と展開が密接に結びつき、笑いと緊張感の双方を無理なく生み出していく。

なるほど、評判のいいのもうなずける。これを観ることができてよかった。

確か2013年にも再演されていて、そのときの感想をツイッター等で読んで気になってはいたのだ。そして今年、先月の東京試演会から京都公演を経て、その間のいろんな方の感想に押されて、ようやく東京公演を観に行くことができた。

当日パンフやチラシなどとともに座席に置かれていた、わら半紙刷りの資料。表紙には「内容限定会議資料」という手書きの文字とイラストがあった。

学校祭のクラス展示の内容を決める「内容限定会議」、通称「ナイゲン」。教師は参加せず、生徒たちだけで運営されるその会議は、千葉県立国府台高校の自主自立のシンボルでもあった。

1年から3年まで各3クラスの代表計9名と、この会議の議長でもある文化祭実行委員会の委員長、副委員長、書記、そして監査委員長の4名、合わせて13名が会議の参加者だ。

昨年の学校祭で学校側から押し付けられた変更を受け入れたことで、自主の気風の低下を嘆く3年。理屈っぽかったりボンヤリしていたりお調子者だったりする個性的な2年。初々しいと同時に頼りなかったり熱意が空回りしたりしている1年。

それでも、例年通りの手続きを踏んで3日間にわたった会議が終わろうとするとき、突然職員室に呼び出された議長が教師から言い渡された内容は、どこかひとクラスは学校側の示した展示を行うこと、さもなければ一般公開はできない、というものだった。

さきほどまでの型どおりな議論から、圧倒的に真剣味が増す。それはそうだろう、9クラスのうちどこか一箇所が、クラスで話し合い、準備をしてきた内容を実行できなくなるのだ。

白熱する議論の中で、それぞれのキャラクターと各クラスの出し物がわかりやすく提示されていく前半。

文化祭規約への抵触や展示内容に関する問題点を指摘し合うに留まらず、恋愛がらみの私情も交えてドタバタと議論が続き、それでも、やむを得ない理由もあって示された展示を受けるクラスが決まったかと思えたとき。

全会一致での決を要する最終決議に、手を上げない者がひとり。

学校側の指示に無自覚に従うことに最初から異を唱えていた3年生。そこからまた議論が始まる。タイムリミットが刻々と迫る中、それでも話し合いによって結論を出そうとする議長。

9クラスのうち1クラスを決める議論を経た上で、この会議の意義そのものを、同時に生徒たちによる自治の意味をも問うことで、濃い目のキャラクターとテンポのいい展開で笑わせてきたコメディがもうひとつ切実さを深めてみせる。

冒頭の会話や議論の序盤でも提示された、自治の意味とそれに対する生徒たちの姿勢。それはこの「内容限定会議」のあり方を越えて、ある種の普遍的なテーマを物語に与えていく。

再度の最終決議。その答えは示さないまま幕切れになるのか、と一瞬思った。答えは観る者の考えにゆだねるのかと。それくらい結論を出しにくい議論に思えた。

それまでバラバラだった彼らがひとつの目的に向かってギュッとまとまっていく心地よさの一方で、ここでそれを決めることこそが問題なのだという主張とは平行線のままだということもわかっていたから。

それでも。

彼らは彼らの結論を選び取る。それは妥協ではなく歩み寄りなのだろう。

カーテンコールで思いをこめて拍手しながら、なるほど確かに面白い舞台だったとしみじみ思った。

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