「オリヴィエ」後編 | ビストロ kif-kif chef カズのブログ

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とりあえず週一が目標。

「オリヴィエ」後編。オリヴィエには本当にお世話になった。いつも前向きなあいつは、今も元気で前に向かって頑張り続けているに違いない。

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 オリヴィエはオートサヴォワのアヌシー(Annecy)出身だ。アヌシーはフランス一きれいな湖があることで有名な観光地である。彼はよく故郷のこと、それから見習いの頃からずっと世話になった「le belvedere(ル・ベルヴェデール)」というオーヴェルジュのこと、そしてそこのオーナーシェフで彼の師匠であるムッシュー・ジャン・ルイ・オーボノーのことをよく話してくれた。後に僕はオリヴィエの紹介で、ジャン・ルイ・オーボノー氏のもと、ル・ベルヴェデールで修業することになる。
 オリヴィエは、僕によく将来の夢を話してくれた。今の彼女と結婚して、故郷アヌシーに帰り、ビストロのような小さなレストランを開くんだ、と言っていた。お金のかかる調理器具は一度には買えないから、将来の為に少しずつ買っているらしい。アヌシーの実家にもういくつか置いてあるのだそうだ。夢をかなえるために頑張っていたオリヴィエ。
 僕がル・クロを辞めた後、2年ほどして久しぶりにお店に顔を出した。オリヴィエもすでにル・クロを辞めてしまっていたが、ムッシュー・バンゾーからそのオリヴィエのことでこんな話を聞いた。オリヴィエは地元アヌシーに帰ったが、病気で左腕が使えなくなり、料理人を諦めて、いまは全く畑違いの仕事をしているという。ムッシュー・バンゾーのオフィスからすぐにオリヴィエに電話した。
 「ムッシュー・バンゾーから聞いたよ。病気で料理人を辞めたって...」しかしそのあとどう声を掛けて良いか分からず、言葉に詰まってしまった。するとオリヴィエはこう言った。
 「La vie continue !」人生まだまだ続くってのに、悲しみに暮れているわけにはいかないじゃないか...。今だってちゃんとやっているよ!
 確かにそうだ。受け入れるしかない。そして前に進むしかないのだ。あの彼女と結婚して、子供も生まれたそうだ。彼は第二の人生を、いや、たったひとつの人生をずーと変わらず彼らしく生きているのだ。僕は今でもときどき、彼の言った「La vie continue !」という言葉を思い出す。そして僕は、僕の人生を変わらず歩み続けるのだ。


次回、エクスでの生活をもうちょっとご紹介します。