( はじめに 雑多な情報も交じっているので、減感作療法についてだけお読みになりたい方は下の *** から *** の間だけお読みください)
今日も院内は花粉症の患者さんが多く、鼻をグスグスいわせながらも、待合でドタバタしている子供達の音が、診察室にも聞こえておりました。
今年はやはり例年より花粉の飛散量は多いようですね。
花粉症を含めたアレルギー性鼻炎で、当院に通院されている患者さんは年々増加しております。
過去を振り返れば、15年位前まではあまりキレのいいお薬がなくて(あくまで個人の意見です・・・)、「この点鼻薬、そんなに効果ないよなあ」と思いながら処方していた時代もありました。
しかし、ここ10年位で、抗ヒスタミン薬や点鼻薬など、キレと副作用のバランスが整った、だいぶ良い薬剤が出そろった感があります。
過去10年間の間に、「気管支喘息」と「アレルギー性鼻炎」については、かなり進歩がありました。
昔は、病棟の半分以上が喘息の患者さんで、ネオフィリンの濃度を計算するのが毎日の病棟当番の仕事だったのですが、今は治療も患者層もだいぶかわっているようですね。
( ちなみになぜここで喘息の話がここで出るかというと、気管支喘息とアレルギー性鼻炎はだいたいセットで発症することが多いからです。 個人差はありますが、喘息とアレルギー性鼻炎の治療はセットになると思っていただきたいですし、当然院長は両方診ております。)
ただし、治療が進歩したといっても、まだまだ症状を抑えきれない患者さんもいますし、今の薬剤の「対症療法」では限界を感じる患者さんも少なくありません。
そこで前置きが長くなりましたが 「対症療法」 から 「減感作療法」=(根治的な治療) の話になります。
*** から *** の間をお読みください。
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「減感作療法」 とは 要するに、原因となる抗原(スギ ダニ など)を、一定のペースで体内に摂取し、反応を出にくくさせる治療になります。
当院でも開院後まもなくから、「注射」による減感作療法を実施しており、何人かの患者さんが継続中です。
ワクチンよりさらに細い針を使うので、そんなに痛くはない・・・ですがやはり注射なので不快なものではあります。
初めは2週間毎、その後は1ヶ月毎の注射で、現在も有効な治療法であることは変わりありません。
(注射の減感作に関する以前のブログはこちらになります。
https://ameblo.jp/kids-forest/entry-11358989022.html )
そして、2014年に シダトレン(舌下用の液体 スギの抗原)が発売されました。
(その時のブログはこちら
https://ameblo.jp/kids-forest/entry-11977807436.html)
これは 成人(12歳以上)にしか処方できないのですが、当院で治療されている成人の患者さんのほとんどは症状が軽くなっており、臨床試験と同等以上の効果は得られている実感があります。
月1回の注射か、毎日の舌下か、今のところ効果は同等と考えております。
どちらを選択するかは患者さんの意向次第だったのですが、小児については、注射しか選択肢がなく、少しハードルが高かったのですが、ここで朗報です!
今年に入り、小児対象の 舌下タブレット(スギ および ダニ) が出揃う予定です。
スギ:シダキュア(2018年04月発売予定 これを書いている時点ではまだ予定です。)
→ 2018年06月下旬発売になりました。治療ご希望の方は07月にご来院ください。
ダニ:ミティキュア(2018年2月に5才以上の小児に適応が通りました。)
対象は5歳以上なので、花粉症・アレルギー性鼻炎・(喘息)に悩む多くの小児が対象になります。
若干「根気」はいるかもしれません。 最低2年以上はやっていただきたいからです。
ただし、「舌下」に置いてしまえば、何十秒かで溶けてなくなってしまうものを、夜「はいっ」と口に入れるだけですから、簡単この上ないのです。
喘息/アレルギー性鼻炎 で毎日夜の内服をしている方は、たくさんおられるので、それより楽だと思います。
(当院にかかられていて、 シングレア/エバスチンorクラリチン を飲んでる方、おそらく読んでいらっしゃいますね?)
今年は、小児アレルギー性鼻炎における、治療のターニングポイントになるのではないかと、考えています。
当然、成人の患者さんもウェルカムです。
親子で開始される方もいるはずです。
初診の患者さんは
診察/説明 → アレルギー検査 → 結果説明・意思確認
→ 初回は院内で内服 → 定期受診
という流れになります。
詳細は外来でご説明したいと思います。
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書き始めるときりがないのですが
患者さんの割合として
ダニ・スギ両方・・・・・5割
ダニだけ・・・・・1割
スギだけ・・・・・4割
くらいになるのではないかと考えております。
そして多くの患者さんは
「減感作療法」 + 「対症療法」 の組み合わせになります。
原則として 「減感作療法」当院 + 「対症療法」他院
というのはご遠慮願いたいです。喘息等々がからむことが多いので、ここはぜひ小児科医にお任せ願いたい。
ただし、シダキュアは2018年04月発売予定ですが、新しいお薬というのは発売後1年間は、2週間処方というしばりがあります。
この通院の手間に関しては、配慮はしたいと思っておりますので、また外来でご相談いただければと思います。
今回の減感作療法の適応は 「アレルギー性鼻炎」 です。
「気管支喘息」 に対する 効果・効能は添付文書にはありません・・・・・ので、声を大にして「気管支喘息」に対する効果を言うことはできないのですが、「気管支喘息」への効果に関する論文は国内外で出されておりますし、今後も有効性に関する論文はどんどんでてくると思われます。
ということで、まだこれから、説明資料や、スタッフ勉強会など、プロトコール作りに取り掛からなくてはいけません。
03月は診療報酬改定もあるし、胃カメラも予約したし、確定申告もしなくちゃいけないし、レーシックしたのに近視が進んできたのでZoffにも行きたいし、何かと忙しい年度末ですが、院長頑張ります。