コロナウイルス感染症の国内蔓延継続期間に伴う クリニック診療の考え方と対応

 

コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大にともない、首都圏だけでなく全国に対して政府から緊急事態宣言が発令され、各地方自治体から緊急事態措置として、外出制限や営業自粛などの協力要請がなされました。

 

新規感染者数はいったん減少し、5月末には、首都圏も緊急事態宣言は解除されましたが、今後、コロナウイルスの感染蔓延持続期間にはいるものと クリニックでは判断しています。継続的に少数の新規感染者の発生が継続し、また時にクラスターが発生して新規感染者数が増加するなど、地域的に新規感染者数の増減が継続すると、クリニックでは判断しています。特に、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)では、自粛が緩むと新規感染者数が増加して、自粛を強化すると新規感染者数が減少するといった事態が継続すると予測しています。また、9月以降の秋・冬期間には、インフルエンザ同様にコロナウイルス感染の流行が起こる可能性を予測しています。

 

上記のように、コロナウイルス感染症の、第2波・第3波がおこることを予測して、クリニックでは、今後の外来診療や検査についての考え方をまとめて、行動してまいります。

 

医療は、生命の安全や病気の治療、健康の維持に必要不可欠ではありますが、上記の予測を踏まえると、相当の感染防止対策や対応の考え方が必要とクリニックは考えています。

 

 

 

 

 

基本となる考え方は、以下のものとなります

 

 

 

 

 

1.院内を安全な空間として維持する

 

頻回の消毒の徹底と院内の常時換気

 

密閉の回避

 

密着の回避(完全予約制により、2メートル以上のソーシャルディスタンスの確保)

 

密接の回避

 

マスクの徹底

 

完全予約制にて患者さまの来院状況や状態を把握する

 

感冒症状や発熱の方は、来院ではなく、電話にて対応する(基本、来院ではなく、電話で必要なアドバイスをして、在宅での経過観察を指示する)

 

感冒症状や発熱の方は、来院の必要があると判断した場合は、通常診療時間と分離して対応して、通常診療の方と接触しないようにする

 

受付では、防御スクリーンを配置して、飛沫感染を防止する

 

 

 

 

 

 

2.電話診療での対応

 

政府や自治体、クリニックの定めるリスク分類を基準として、通院自体にリスクがあると判断するときは、電話診療を基本とします。とくに、新規感染者数の多い時期は、電車などの公共交通機関を利用することは、感染リスクがあり、不適切と考えています。感染流行期は、近所の徒歩で通院可能な方、あるいは、急性腹部症状など直接診療が必要な方に、できる限り限定して、対面診療をおこなうようにしています。完全予約制であることと、電話診療率を高めることで、対面診療が必要な方の、感染リスクを極力減らして、3密を回避して、安全な院内環境で、医療が行える体制をつくる努力をしています。(注:電話診療については、厚生労働省からの通知に準じておこなっています)

 

 

 

 

 

 

3. 職員の安全の確保をしながら、外来診療を維持する

 

電車など公共交通機関を利用して通勤する職員の安全確保にも留意しています。そのため、クリニックの定めるリスク分類を基準として、感染流行期には、外来対面診療時間の短縮、電話診療時間の拡大、職員の時間短縮勤務、公共交通機関を利用する遠距離通勤者は、自宅待機などの対応をおこないます。職員の安全確保と同時に、院内を安全な空間として維持することのバランスをとれるよう努力しています。

 

 

 

 

 

 

4. 接触機会の増える検査の制限

 

消化器内視鏡検査は、感染防御対策をしっかりとりながら、安全に施行していきます。感染流行・拡大期間中は、内視鏡検査は中止といたします。クリニックの定めるリスク分類を基準としながら、安全第一で内視鏡検査を施行いたします。内視鏡検査は医療側にも受診する患者様にとっても接触度合いの高い検査ですので、しっかりと安全と安心を確保していきたいと考えています。

 

 

 

 

 

5.診療時間の臨機的変更

 

コロナウイルス感染流行・拡大期間は、在宅勤務の方がふえること、電話診療率を高めること、完全予約制であることから、職員や職員の家族の安全を守りつつ、対面診療の質と量をバランスよく維持できる診療時間に臨機的に変更いたします。政府と自治体、クリニックの定めるリスク分類を基準にして、診療時間を運用していきます。

 

 

 

 

 

6. 遠距離の方への処方箋FAXあるいはお薬の郵送対応

 

当院と連携している薬局(フクシ板橋薬局)の協力を得て、当該薬局で普段お薬を受け取っておられる方に限定して、電話診療後に薬局よりお薬を着払いにて郵送していただく対応が可能となりました。詳しくは、電話診療時にご説明いたします。また、遠距離から来院されている方で、ご近所の薬局でお薬を受け取っておられる場合は、その薬局に処方箋をFAXすることで、お薬対応できる場合があります(詳しくはご利用先の薬局にご相談ください)。

 

 

 

 

 

 

クリニックの定める安全性分類(一都三県にて) 

 

 

 

安全性分類S: 安全(通常の外来診療・検査体制)

 

過去2週間にわたり、1日の新規感染者数が0人

 

リスクM: 安全と考えてよい(通常の外来診療・検査体制)

 

① 1週間を平均した1日新規感染者数が、過去1ヶ月にわたり減少傾向あるいは横ばいであること

 

② 過去1ヶ月にわたり、1週間を平均した1日新規感染者数が、20人以下であること(東京都であれば、人口10万人あたりの新規感染者数が0.15人以下)

 

③ 過去2週間にわたり、1週間を平均した1日の新規感染者数が、5人以下であること

 

④ 緊急事態宣言が解除されていること

 

 

 

 

 

安全性分類A:  ほぼ安全であると考えてよい(通常の外来診療・検査体制)

 

① 1週間を平均した1日新規感染者数が、過去1ヶ月にわたり減少傾向あるいは横ばいであること

 

② 過去1ヶ月にわたり、1週間を平均した1日新規感染者数が、20人以下であること(東京都であれば、人口10万人あたりの新規感染者数が0.15人以下)

 

③ 緊急事態宣言が解除されていること

 

 

 

 

 

安全性分類B: 日常生活や外来診療・検査では、十分な注意をすれば、ほぼ安全である状態(通常の外来診療・検査体制)

 

① 1週間を平均した1日新規感染者数が、過去1ヶ月にわたり減少傾向あるいは横ばいであること、あるいは、軽度の増加傾向増であること(感染者比率1.5未満)であること

 

② 過去1ヶ月にわたり、1週間を平均した1日新規感染者数が、20人以上50人以下であること(東京都であれば、人口10万人あたりの新規感染者数が0.15人以上0.35人以下)

 

③ 緊急事態宣言が解除されていること

 

 

 

 

 

安全性分類C: 日常生活に自粛が求められる状態、内視鏡検査は、十分な注意をしながら、必要な方にのみおこなう状態、対面診療は、十分な注意をしながら、必要な方にのみおこなう状態、それ以外は、電話診療が望ましい。公共交通機関を使っての通院はさけるべき状態、(外来診療や検査を制限する体制)

 

① 1週間を平均した1日新規感染者数が、50人以上100人以下であること

 

② 過去1ヶ月にわたり、1週間を平均した1日新規感染者数が、50人以上100人以下であること(東京都であれば、人口10万人あたりの新規感染者数が0.35人以上0.71人以下)

 

③ 緊急事態宣言が解除されていること

 

 

 

 

 

安全性分類D: 日常生活で強い自粛が必要な状態、不要不急の外出は避ける状態、県をまたいだ移動は避ける状態、対面診療は、十分な注意をしながら、必要な方にのみおこなう状態、それ以外は、電話診療が望ましい。公共交通機関を使っての通院はさけるべき状態、内視鏡検査は行わないことが望ましい状態(外来診療や検査を制限する体制)

 

① 1週間を平均した1日新規感染者数が、100人以上であること

 

② 過去2週間にわたり、1週間を平均した新規感染者数が、増加傾向であること

 

③ 緊急事態宣言が発令されている

 

 

 

 

 

上記のクリニックが定めるリスク分類を基準にしながら、必要とされる方に、必要とされる医療が、できる限り安全に提供できるよう努力しております。今後2年程度は、コロナウイルス感染症の国内遷延継続期間になるだろうとクリニックでは予測しています。毎週リスク分類を見直しながら、その時節に適切な外来診療・検査体勢をとっていきたいと思います。

 

 

 

 

 

6月3日 院長 清水 公一