婦人科便り352  まるぽこ。的ジスロマックの使い方 | 婦人科備忘録

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ある婦人科医の独り言です

ネタ提供ウェルカムですが
最近ご質問内容が
すでに記事になっていることが多くなってきました。
お手数ですが、まずはブログ内をご検索ください。

ネタ提供ありがとうございます。

 

ジスロマック=アジスロマイシンは

婦人科では主にクラミジアの治療に使います。

4錠=1000mg一発、ドーンと飲んでいただき

治療は終了。

あとは1ヶ月後くらいにもう一回クラミジアの検査をして

(頸管粘液のPCR検査ですな)

陰性化したら「海へおかえり」と放流する。

 

ジスロマック、これ以外にお薬がない病気も

たくさんあるんで

何も言わずに飲んで欲しきこと風林火山。

自分のお悩みに薬が存在し

治療法が確立していることへの敬意はどこに行った、とか

冷た〜い私なぞは思っちまいますが。

 

 

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Q.

看護師です。

 

ジスロマック、内服後に吐き気や下痢がある人が多い印象があります。

どれくらいの人数にどれくらいの割合で出ますか?

 これ大事ね)

内服し、30分後に必ず嘔吐、というような。
抗生剤のアレルギーというよりも、

3日飲めば7日間の効果があるというように、

成分の濃さ、の問題なのでしょうか?

医師に報告すると、黙って他の薬に変更になるのですが、

アレルギーなら、きちんとしておかないと、と思うのですが。

副作用と効果のバランスの問題なのでしょうが、

患者側からすると、あの吐き気は?となります。

どういった対応が正解でしょうか。

 

A.

我慢せえ・・・

飲み込め・・・

 

おっとつい本音がポロリ

 

アレルギーかどうかは他のアレルギー症状、

例えば蕁麻疹や喘息発作などが

一緒に出たかどうかで判断して良いと思います。

抗菌薬は腸内の常在菌も殺してしまうため

下痢をしがちですし、特にジスロマックは

粒がでかいんで、マダム、割と吐き気もよおしがち。

 

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抗菌薬を飲んだ後の下痢は

ありがちな「副作用」で

その薬がちゃんと腸に届き、

効果があったことの証明でもあります。

ジスロマックはもう発売されてない懸濁液だと

飲んだ直後に胃にダイレクトに響く感じがして

おえっ

ってなってましたー、そういえば。

錠剤も一個一個の粒がデカくて

飲みづらいんで、そこが吐き気につながってるのかもね。

その他の副作用は呆れるくらい頻度が低いんで

 

ほんとは

 

黙って他の薬に変更にする

 

という対応にせず、

診察室にもう一度患者さんを呼んで

この症状は単なる物理的なものである可能性が高いこと

懸濁液の場合はその液体そのものの作用かもしれないこと

ジスロマック=アジスロマイシンはこれと同等に

効果がある薬が他にあんまりないこと

副作用は他の抗菌薬に比べて非常に少ないこと

を丁寧に説明し、ニコッと笑って

大丈夫ですYO

言うのが正解や、と思います。

 

ただ、

 

黙って他の薬に変更にする

 

医者の気持ちもめっちゃわかる。

要するに外来が混雑しすぎてて

いちいち個人の不安に付き合う時間が足りないんですよねー

うるさいな、もうこれでええやん、なります、忙しいと。

さらに、病気になってるのは自分で

目下、お世話になっているジスロマックへの恩も忘れ

ただひたすら、ムカムカしただの下痢がどうのという患者さん

100メートル先から見ても1ミリもおおらかであるはずがなく、

失礼ながらおそらくちょっとした爆弾。

無理矢理説得してさらにそれらの症状が重くなったら

どんな目に遭わされるかわかりません。

 

そして、一瞬、ほんとは重いアレルギーやったらどないしよ、と

あらぬ妄想が脳内を駆け巡ってしまいます。

よって

 

黙って他の薬に変更にする

 

という対応になるんでしょうね・・・

 

そこらへん、気の利いたナイチンゲールや

薬剤師さんが正しい知識を持って

患者さんを宥めてくれるとほんとに助かるんですけど

おおかたの対応が

 

先生にお聞きしましょうね

 

になるのなんで。

ほんで患者さん側に立つのやめて?孤立無援。

他にどうやってクラミジア治療すんの。

 

 

まあ、下痢になって苦しい気持ちもよーとわかるので

一緒にお腹に優しいビオフェルミンR(抗菌薬で死なない乳酸菌)

を処方してやらんでもない。えらそう。

ムカムカに関しては

一瞬やけん、我慢しい、でいいと思います。乱暴やなーわし。

時間があったら私のジスロマック愛を

とうとうと聞かせてやるのだが

時間がない時はなんとか笑顔で誤魔化したいところです。