お坊さんの手元には
いつも数珠(じゅず)があります。
念珠(ねんじゅ)ともいい、
仏様を礼拝する時や読経の時に
数を数えるために使用する法具です。
常に身に着けることで
一切の悪に染まることなく、
人々から尊敬され、
願いが円満成就するとも
言われています。
【数珠を持つ弘法大師像】
数珠は珠の数によって種類が異なります。
お坊さんが持つ数珠は108個から成り、
これは、108あるとされる人間の煩悩を滅し、
百八尊の功徳を生ずる意を表しています。
(百八尊とは、
五仏、四波羅蜜、十六大菩薩、十二供養、
賢劫十六尊、外金剛部二十天、五頂輪王、
十六執金剛、十波羅蜜、池水火風の四天
をすべて加えたもの とされています)
【108の珠からなる数珠】
よく見ると、珠は全て同じ大きさではなく
大きい2つの珠と
小さい4つの珠が混ざっています。
(写真の紫色の珠です。)
これらの大きさの異なる珠は
108個には含まれず
それぞれに意味があります。
大きい2つの珠は
数珠の輪の直径を結ぶよう配置されて、
(つまり、大きい珠の間には54(108の半分)の珠があります)
ひとつは阿弥陀如来、
もうひとつは観音菩薩を表しているそうです。
【大きい珠の拡大】
小さい4つの珠は四天王を表しているといわれ、
それぞれの大きい珠から7つ目の次、
21つ目の次に配置されています。
数を認識するために使うとされています
【小さい珠の拡大】
珠にも様々な素材が使われていますが、
最も多く使われ最上と言われているのが
菩提樹の実です。
とはいえ、
菩提樹といっても様々な種類があるそうで、
お釈迦様が悟りを開かれた時
近くにあった菩提樹とは
異なる品種の可能性が高いそうです。
数珠は、読経の回数を数える以外にも
読経の前と後に擦り合わして音を鳴らすために
使用されます。
仏教が中国から日本に渡ってきた際は
このような習慣はなかったそうですが、
読経中に合図する目的で
平安時代からされるようになったそうです。
もし読経を聴く機会があれば、
お坊さんの数珠にも注目してみてください。