輪廻転生という言葉があります。
あらゆる生き物は
生と死を繰り返していくというものです。
生まれ変わる時、自分たちには
意思はありません。
死後、どのような状態で
生まれ変わるのかは
生前の業(カルマ)によって決定します。
その業とは、行いや行為を意味しますが
さらにそれは善や悪、
あるいは中性(善悪どちらでもない)に
分けられます。
人をはじめ、生き物は常にそのような業を
行い続けています。
前世で悪いことを多く行えば
地獄や餓鬼、畜生という苦しみに
溢れた三悪趣に
生まれ変わってしまいます。
人々は、このような生に生まれ変わりたいとは
思わないでしょう。
逆に善業をたくさん積んで人よりも
良い生となるのが天です。
これらに修羅を加えて六道と言いますが
この六道の輪廻の中で迷って生きているのが
われわれです。
天であっても六道に中にいる限りでは
来世で地獄に堕ちる可能性を持っています。
その中で、十善業道という善い行いを
することによって善業を積んで
来世でより良い生に生まれ変われると
信じられてきました。
不殺生は、生き物を殺さないこと
不偸盗は、盗まないこと
不邪淫は、みだらなことをしないこと
不妄語は、うそをつかないこと
不綺語は、言葉を飾らないこと
不悪口は、汚い言葉をはかないこと
不両舌は、二枚舌を使わないこと
不慳貪は、貪らないこと
不瞋恚は、思い通りにならなくても怒らないこと
不邪見は、邪な考えを持たないこと
となっています。
最後の不邪見はもっとも大事なことです。
邪な考えとは
仏教において基本的な考え方である
「縁起」を信じないこととされます。
縁起の内容はここでは省略しますが、
仏教徒としては、まずは十善の業を
行うことで善業を積んでいくことが大切です。
簡単なように見えて実践していくことは
とても難しいと思います。
仏教では、理論的なことも重要ですが
実際の修行をより大事なものとします。
その中で根本的な縁起の道理を理解して
仏教の深い思想を学んでいくことも
忘れてはならないことでしょう。