お寺の中の音について | 吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

茨城県石岡市にある真言宗豊山派の摩尼山吉祥院です。
ふるさと茨城路百八地蔵尊霊場第九十一番札所に指定されており、
開山約900年の歴史を持つ由緒ある寺です。
境内の四季折々の風情や仏教について、幅広い情報を発信するお寺ブログです。

お寺には音を出すための仏具がいくつかあります。

最も目立つものは、梵鐘です。

ふつうは高さが1メートル以上あって、鐘楼に吊らされ

撞木によって鳴らされます。

除夜の鐘として、一般の方も鳴らすことができるものです。

 

また、その小型版として半鐘があります。

主に本堂のところに置かれ、法要にあたり

僧侶たちを集める合図などに使われます。

 

この他によく目にするものとして

魚の形をした仏具があります。

まず、魚鼓(ぎょく)や魚板と呼ばれるものがあります。

 

木で作られた細長い魚の形をしたもので

廊下などに吊るして置いてあります。

主に禅寺にあり、食事や法事の時間などを

知らせるためにあります。

 

また、木魚は馴染みがあると思います。

これは球体をしており、細長い口が掘られ、

表面には魚などの彫刻が為されています。

読経の際にリズムを取るための仏具です。

 

木魚は比較的新しく、江戸時代に黄檗宗という

禅宗とともに日本にもたらされたといわれています。

これらは、なぜ魚の形をしているのかといえば

魚は昼夜を問わず目覚めているように見えるから

その魚にあやかって、精進していこうと

戒めるためとされています。

 

いずれの仏具も音を鳴らすためのものです。

昔から僧侶たちは音とともに生活してきました。

本山などの大きなお寺では、鐘の音によって

起床し、また鐘に音によって本堂へと移動し

勤行を行い、法要の間には木魚や太鼓などの

音によってリズムをとり、経を唱えます。

僧侶にとっては音はとても大事なものといえます。