お寺というのは、僧侶がそこに暮らし

仏教について学び修行する場です。

そのお寺の建物の配置を「伽藍」と

呼びますが、その配置によって

仏教の世界が見えてきます。

 
伽藍は梵語でいう、サンガーラーマで
それが音写され、さらに略され
伽藍と言われるようになりました。
元々は、(僧侶たちの)休憩場所、僧院を
意味する言葉だったと思われます。
 
伽藍には、舎利塔や金堂、僧房などが置かれます。
金堂には、お寺にとって最も重要な仏像、
ご本尊が安置されます。
 
また、宗派や時代による仏教の受け止め方が
違っていたことも伽藍の配置でわかります。
 
飛鳥時代に建立された四天王寺は
建物が一直線上に並べられ、周囲には
回廊が囲んでいます。
仏舎利を祀った仏塔が中心にあり
仏塔が最も重要な存在であったことがわかります。
 
少し後の時代の8世紀の東大寺では
塔が回廊の外に置かれ、金堂が寺院の中心となる
伽藍となっています。
 
浄土宗系の寺院では、極楽浄土を想定した
伽藍配置がなされました。
平等院などでは、美しい庭園や池を置き
西方にあると信じられる極楽浄土に見立てた
鳳凰堂を配置しました。
 
正しい教えが実践されなくなるという
末法思想の高まりもあり、極楽往生を
願う信仰が広まったことがこのような伽藍配置を
生んだともいわれています。
 
豊山派の本山である長谷寺などのような
山に建てられたお寺では敷地の制約があり
平地のお寺のような整然とした伽藍配置は
見られませんが、逆に壮大な雰囲気を
自然と共に感じられます。
 
伽藍は、立てられた時代背景や
宗派の違いによって様々であり
いろいろなお寺を巡ってその違いを
感じることもお寺参詣の一つの楽しみと言えます。