仏教はインドで生まれ
その後、大きく二つの経路で
その他の地域に伝わりました。
一つはスリランカや東南アジアへと
流れた「南伝仏教」
もう一つは中央アジア、中国、
朝鮮半島に渡り
日本に至った「北伝仏教」
南伝と北伝では
その内容に大きな違いがあります。
なぜかといえば
定着した教えが異なるからです。
南伝では上座部の教え(部派仏教)が
中心であったのに対し
北伝では大乗仏教が主流でした。
開祖であるお釈迦さまが入滅後
仏教教団内で様々な対立が起ることで
教団が分裂していきました。
そこで多くの部派に分かれたので
この時代の仏教は部派仏教といわれます。
大乗仏教を生み出したグループは
部派仏教の教えを小乗(小さいな乗り物)
と見做し、自分だけでなく
他の多くの人々をも
悟りに導いて、救済するという
新たな教えを見出していきました。
中国にはその北伝仏教が主として
伝わり、元々あった儒教や道教と
影響しあうことで、
インドにあった仏教とは
異なる展開をしていきました。
インドのサンスクリット語で書かれた
経典は中国語に翻訳されて
それが後には朝鮮半島や日本には
漢訳経典として請来されました。
したがって、日本の仏教というのは
中国仏教が大きく影響しているのです。
東南アジアにおいては、
インドと同様にイスラム教の進出などで
仏教が消滅してしまったところも
ありますが、スリランカやミャンマー、
タイなどでは広く信仰されています。
今でも出家修行者が街に出て
托鉢に歩く光景を目にすることができます。
また、ヨーロッパでは、19世紀ころから
哲学者などの思想家らに注目され
アメリカなどでも仏教徒が増えているようです。
特に禅が人気で、ベトナム人僧侶
ティク・ナット・ハンはフランスに
瞑想センターを設立し
今流行しているマインドフルネスの
普及活動を行っています。
時代が変わって、国や地域によっても
大きく異なる仏教の姿は
現在でも各地で信仰され
また、思想的な研究も盛んです。
仏教離れが進むといわれる日本でも
これまでとは違う姿で信仰され
存続していくものと思います。
葬儀などの儀礼のみならず
仏教には人間の心をテーマにした
非常に優れた教えがあり、これが
より広まっていくことが期待されます。