曼荼羅は、サンスクリット語のマンダラを
音写した語です。
「マンダ」が「本質」、「真髄」、「醍醐」などを
「ラ」が「所有」を意味する語です。
したがって
マンダラは「本質を所有するもの」と
解釈されるといいます。
また、曼陀羅、曼拏羅などとも訳されます。
インドでは、神々や仏、諸尊を安置して
祀るために円形状に仕切られ
聖域化された場所を意味していたようです。
一時的に土壇を設け、その上に
聖典の規定に基づき
砂などを用いて表されるのが一般的で
清浄な泥土をこねて表層には
白土を塗って、仏を安置あるいは
描くなどしますが、修法が終われば
すぐに壊してしまいます。
しかし、仏教がインド以外の地域に
広まっていく中で、掛け軸に
描かれるものが一般化したといいます。
また、チベットでは壁画などが多く
彩色の砂曼荼羅というのもあります。
日本においては、主に
密教の世界観を表現した
二つの曼荼羅が見られます。
金剛界曼荼羅と胎蔵曼荼羅です。
合わせて両界曼荼羅と呼ばれます。
『金剛頂経』という密教経典を
根拠とするのが金剛界曼荼羅で
『大日経』を根拠とするのが
胎蔵曼荼羅です。
いずれも、真理そのものである
大日如来を中心にし、多くの仏や菩薩が
それを取り囲む構造をしています。
密教の行者にとっては
曼荼羅は修行のための道具であり
それによって仏教の真髄を自らの体で
受け止める体験をするのです。
一般には美術鑑賞の対象と
されてきました。
京都の東寺には、国宝の
両界曼荼羅や立体曼荼羅があり
博物館や美術館では
よく特別展として様々な貴重な
曼荼羅を鑑賞することができます。