仏教の開祖であるお釈迦さま(釈尊)が、
いつ生まれたかについてははっきりとわかっていません。
紀元前の5世紀から4世紀ころに生きていたということが
推定されています。
釈尊は、インド北部を支配していた釈迦族の王だった
シュッドーダナ(浄飯王)とマーヤー(摩耶夫人)の間に、
王子として生まれました。
伝説では、マーヤーの右の脇腹から生まれ、
その後すぐ立ち上がって七歩進み、
右手を挙げ左手で大地を指し、
「天上天下唯我独尊」と言ったといわれます。
この「天上天下唯我独尊」の意味は、この世で
わたしひとりが尊い存在であるということであり、
これは後世の人が作ったものですが、
そこには釈尊が救済者として生まれてきたことを
強調したことが読み取れるとされます。
また、七歩進むことは神が世界を征服し、
右の脇腹から生まれることは、原人から王族・武士階級が
生まれたという神話にもとづくものといわれます。
釈尊は幼いころ、老・病・死について
思い悩んでいたといわれます。
われわれは自分や他人が老いたり、病気になったり、
死ぬことを嫌います。
しかし、そこから逃れることはできません。
逃れることができないにもかかわらず、
釈尊は自身がなぜその老・病・死を嫌悪するのだろうと
自問自答していました。
王子として生まれた釈尊は、何不自由のない
裕福な生活を送っていました。
不自由ない裕福な暮らしだったからこそ、
そのようなことを深く考え込むことが
できたのかもしれません。
そしてついには、その生活を捨てて、
出家しそれ以後、苦行などによって
悟りの獲得を目指すことになります。