輪廻思想 | 吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

茨城県石岡市にある真言宗豊山派の摩尼山吉祥院です。
ふるさと茨城路百八地蔵尊霊場第九十一番札所に指定されており、
開山約900年の歴史を持つ由緒ある寺です。
境内の四季折々の風情や仏教について、幅広い情報を発信するお寺ブログです。

古代インドにおいては、生まれては死ぬのを

繰り返す「輪廻」は、迷いの世界として

考えられていました。

輪廻の中では、自分の思い通りにならない苦が

つきまとい、その輪廻から抜け出すこと(解脱)が

求められました。

 

われわれ衆生は、三界という世界の中を

輪廻するとされています。

 1.欲界

 2.色界

 3.無色界

の3つの世界のことです。

 

欲界は、さまざまな欲望によって支配されている世界

色界は、欲望を超越してもまだ物質的なものが残っている世界

無色界は、欲望、物質はなくなり精神のみの世界

 

以上の三界は、瞑想によって心が次第に深まっていく

段階を表していますが、今いる世界を欲界、

その上の色界、さらに上の無色界というように、

次第に空間的な上下の世界としてみなすように

なったといいます。

 

また、迷いの世界を六道という6つの生命のあり方に

分けるという考えもあります。

1.地獄

 前世で最も重い罪を犯した者が転生する世界

2.餓鬼

 前世で欲望が強く、欲望のままに行動したものが

 転生する世界

3.畜生

 人間以外の世界

4.修羅

 憎しみと怒りに満たされた世界

5.人 

 前世の善業によって転生する世界

6.天 

 前世でより多くの善業を積んだ者が住む神々の世界

 

これらのどの生存状態に趣くかは、それまでの善と悪の

業(はたらき)に基づきます。

天と人は善業を重ねた結果の生であり、善趣といい、

逆に悪業を重ねた結果として趣く、

地獄・餓鬼・畜生・修羅を悪趣といいます。

 

輪廻思想は、古代ギリシャや古代エジプトにも知られますが、

インドでは、業の思想と結びついて、

倫理観が深まり、輪廻から解脱することが涅槃であるとされ、

インドの様々な宗教の共通の目的となっていたとされます。