仏像は、元来はお釈迦さまの像のみでしたが、
大乗仏教の運動によって、
さまざまな仏像が生み出されました。
それは阿弥陀仏や薬師仏に代表されますが、
その後、密教が成立すると、さらに多くのほとけの姿が
礼拝の対象となりました。
金剛薩埵や普賢延命菩薩などがそれです。
また、不動明王や愛染明王というような
密教独特の忿怒尊もあります。
不動明王は、『大日経』では大日如来の使者として登場し、
『仁王般若経』などでは、教化することが難しい衆生を
救うためにあえて恐ろしい姿をとって現れるといいます。
不動明王の像容は、一面二臂が普通で、右手に剣、
左手に羂索を持っています。
愛染明王は、『喩祇経』という経にもとづいて、
描かれるとされ、愛欲の激しさを象徴する赤色で、
菩提心が堅いということを示す燃える日輪を背にして
金剛杵や鈴、弓矢などを持っています。
他にも、ヒンドゥー教の神々やそれ以外の宗教の神々が
仏教に取り入れられ、仏法や如来を守るための
四天王や梵天、帝釈天などの天たちもあります。
さらには、十大弟子や羅漢などの僧の仏像も
造立されました。
日本には、中国や朝鮮を経由し、仏教が請来されたので、
初めはそれらの国々の様式を摂取した仏像が
造られたと考えられます。
それから、遣唐使が廃止されると、日本独自の様式が
形成されたといいます。
仏像は、時代によって、像容の変遷があります。
木像や石像、金銅像などの材質の違いもあります。
寺院観光の際は、
このような点に目を向けるのも
一つといえます。