如意輪観音は、六(七)観音の中でその起源が
最も不明瞭であるとされます。
(吉祥院住職作 如意輪観音)その他の主要な変化観音は、インドでの元々の原語が
ある程度判明している中、如意輪観音については、
その名前の起源すらも定説がないようです。
現在最も有力なのは、原語がサンスクリット語で
「チャクラヴァルティ・チンターマニ」で、
「どこにでも転がっていく如意宝珠を持つもの」という
意味であるといわれます。
衆生救済のためにどこにでも現れてくれる
ほとけであることが示されています。
如意輪観音の形像は、二つの手を有するものから、
十の手を有するものまであるといわれますが、
日本で見られるのは、二臂と六臂が
ほとんどといわれます。
仏像として有名なのは、観心寺や室生寺、醍醐寺の
観音さまで、それらはいずれも六臂です。
右足を立てて、右の第一手を頬にあて思惟の形を
とり、第二の手は宝珠、第三の手は念珠を、
左の第一手は垂れ、地面を押さえ、第二の手は蓮華、
第三の手は輪宝を持っています。
十一面観音や千手観音などと比較すると
遅く現れたと考えられる如意輪観音ですが、
より現世利益を求める仏教徒の願いによって
生み出されたのだと考えられます。
ちなみに真言宗には、教えを伝える流派が
いくつもありますが、その一つ、小野流の
祖である醍醐寺を開いた聖宝という、
高僧がとりわけ如意輪観音を
信仰していたという説があります。
そのため、小野方の法流では、行の過程で、
如意輪観音を本尊とする如意輪観音法を
修しています。
上に示した、観心寺の如意輪観音は
国宝であり、秘仏ですが、年に一度の御開帳が
行われています。
また、室生寺のご本尊である如意輪観音は
現在は修復中らしく、次にお寺に戻ってくるのは、
2018年の3月だそうです。