インドで生まれた仏教は、

悟りへの実践と哲学的な観念

という特徴をもち、

それがアジアの国々に伝えられていきました。

 

それは、各々の国の

文化や風習などに即して定着したので、

現在でも様々に変化した形の仏教が

各国に残されています。

 

当然、日本に伝わった仏教も

日本の文化等と融合し、

その時代に即した形で展開してきました。

 

日本に伝わる以前、アジア諸国を経た経典などは、

中国においてサンスクリット語から漢文に翻訳され、

日本に渡っていました。

 

 

中国には、すでに

儒教や道教の高度な思想が広まっており、

そこで仏教は固有の思想信仰に即して

民衆へその教えが伝えられました

 

これを格義仏教といいます。

 

したがって、このことだけでも

日本に伝わった仏教が

インドで生まれたそのものであるとはいえない

ということがわかるでしょう。

 

 

日本における仏教は、

仏様の救いの力が死者に及ぶように、

また、生きている人の幸福を願う祈りのもの

として定着しました

 

葬儀においては死者を供養し、

安産祈願や病気平癒といった現世利益を祈祷する形は、

現在多くのお寺で見られる光景ですが、

 

祈りものとしての仏教が

広く根付いていることが表されています。

 

また、仏教行事である

春秋の彼岸や夏のお盆、正月の初詣でなどは、

日本の文化として定着しているといえます。

 

これが宗教としての仏教ではなく

文化としての仏教とされるところで

時として批判の対象ともなります。

 

しかしながら、

インドで生まれたブッダへの尊崇と祈りの心は、

日本へも受け継がれているといえます。

 

このことを忘れずに

仏教の歴史を知ることは

大切だと思います。

 

 

現在は、葬儀や法事などでしか

仏教に触れないため、

仏教の存在意義を理解していない場合がありますが、

 

述べたように、

仏様の偉大な救いの力が

死者にも及ぶと信じられたことで、

葬儀などによる死者への供養が

行われるようになったのです。

 

そこに、

宗教としての仏教があるといえます。

 

仏教界に危機が迫っている今、

宗教としての仏教の存在意義をしっかりと知り、

広めることが大切であろうと思います。