キッカケ | 吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

吉祥院 ~茨城県石岡市(旧八郷町)で約900年続く真言宗豊山派のお寺ブログ(お坊さんのことば)~

茨城県石岡市にある真言宗豊山派の摩尼山吉祥院です。
ふるさと茨城路百八地蔵尊霊場第九十一番札所に指定されており、
開山約900年の歴史を持つ由緒ある寺です。
境内の四季折々の風情や仏教について、幅広い情報を発信するお寺ブログです。

6月に入り、関東では真夏のような暑い日が続いています。
でも、もうすぐ梅雨になるので
この暑さとは少しだけお別れでしょうか。


日本は、見た目の変化の富む
四季の移り変わりがあるため、
時の経過の中の ‘ある点’ を
意識しやすいです。

雪が溶けたな、
花が咲き虫が飛び暖かくなったな、
ムシムシする雨の日が続くな、
暑くなり空気が曇ったな、
木々の葉が色づき肌寒くなったな、
葉が散り色味が無くなったな、
今日はこんな景色か、とか。


そして、これらを思うと同時に
「あれからもう、こんなに経ったんだ」
とも思うはずです。

これは、 ‘ある点’ を意識するタイミングが
所定の間隔でくるため、
‘ある点’ と ‘ある点’ の経過時間と体感時間の差を
感じやすいためと思います。

この感覚は、まさに、
自分は変わっていないと思っていたけれど、
知らぬ間にこんなにも時は経っていて、
実は自分も色々変わっていたな。と、
日々忘れかける諸行無常という大前提を
思い出すキッカケになります。

なので、季節の移り変わりは
我々に大切なことを思い出す
キッカケをくれる、
生活に欠かせないものだと思います。


体感時間が、年を経るごとに短くなっていることは明らかで、
誰しも自己の体験から感じていると思います。

なので、年をとればとるほど
このように思う機会は増えるはずです。

しかし、現代人は忙しく時間に追われており、
また、夢中になれるものが多い恵まれた時代におり、

ついつい下を向いて歩いてしまい
季節の変わり目に気付くチャンスを失っています。

これによって、諸行無常を忘れかけ続けてしまっている、、、なんて人も
いるのかもしれませんね。


迷った時、悩んだ時は、
まず上を向いて歩き、諸行無常を思い出すキッカケを得てみて、
それから考えてみてはどうでしょうか。


管理人