ダンマパダという経に
「愚かな人間が
自分を愚かであると考えるなら、
すなわち賢者である。
愚かな人間でありながら、
自らを賢者と考える者は、
まさに愚かな人間と言われる」
という、お釈迦様の言葉があります。
自分が間違っていたとしても、
それを自覚しているかそうではないかで、
大きな違いがあるということでしょう。
仏教では、もののあり方を正しく見ることを教えます。
人はしばしば、ものごとの本質を見失っていることがあります。
本質を見失ったままそれで満足していれば、上で示した愚かな人間となり、
本質を見抜いていなくともそのことに自分が気づいていれば、
まだ救われる可能性があるということなんだろうと思います。
現在の状況でうまくいっていても
それが永遠に続くことはないし、
それがそもそも本質を捉えているわけではなく、
たまたまうまくいっているだけの場合だってあります。
うまくいっていても、そうでなくても、
想像力豊かに広い視点でものごとを見極めることが、
より良い人生につながるのだと思います。
仏教思想を社会生活に生かす一つの教えが、
最初に引用したお経(ダンマパダ)にあるのではないでしょうか。
文責 副住職