30年以上も塾に居る。私の専門は,何なのか? 改めて思う。算数•数学で始まったのは,間違いない。その後,正に紆余曲折を経て現在に至る。
学生時代に,フランチャイズの個別指導塾に居たことが,私を「何でも屋」に仕立てた。私の専門外と思っていた教科・科目を,「専門です」と宣う学生達の,知識の浅薄さ,指導力の稚拙さに驚きを禁じ得なかった。
ある生徒を指導している時,聞くともなしに聞こえてくる隣の先生の声。その声に驚いた。「君は算数良く出来るんだけど,応用はチョット苦手だよね。方程式を使えば簡単だよ。教えてあげるね」‼ えっ‼ 相手は小学生である。当然,算数を指導しいる筈である。算数で指導しなくてはならない。この様な先生は,数学が高尚で,算数はレベルの低いものという,間違った認識の人が多い。正しく教えて欲しいものである。
FAXで送られてきた紙片を持って事務員が教室に入って来た。「この問題,分かる人,居ませんか?」⁇ 他の教室で,生徒から質問されたらしい。その教室には応えられる人が居なかった様だ。その紙片の周りに輪が出来る。私は暫く静観していたが,どうやら我が教室にも分かる人は居ないらしい。のそのそ紙片を覗き込む。典型的な方程式の文章問題,食塩水に関するアレである。何でこんな問題が出来ないのと思いつつ,解説を書き上げる。周りから起こる拍手⁈ 君たち,此処に何しに来てんの⁈ である。
また,徹夜明け寝ずに来たり,平気で遅刻・欠勤を繰り返す姿を多く見るにつけ,アルバイトと言えども報酬を頂いている以上,「プロ」という意識が持てないものかと,半ば,呆れていた。何はともあれ,私の周りに,マトモに指導出来る人がアマリニモ少なかったことが,私を「何でも屋」に仕立てた訳だ。(続)



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