【題字のイラスト】間瀬健治      

 

 

物語の時期 1962年(昭和37年)8月1日~1963年4月

 

 今回の「世界広布の大道 小説『新・人間革命』に学ぶ」は第7巻の「基礎資料編」。各章のあらすじ等を紹介する。次回の「名場面編」は10日付、「御書編」は17日付、「解説編」は24日付の予定。

 

 

「文化のはな」の章


 

 だいな宗教は、偉大な文化を生む。
 山本伸一は、広宣流布とは、仏法のこうをもってみんしゅうの大地をらし、新しい「文化のはな」をかせゆく運動であると考えていた。
 1962年(昭和37年)は、民衆文化のこうりゅうちからそそがれた年であった。1月には東洋学術研究所(後の東洋てつがく研究所)がそうせつされたのをはじめ、8月には教育部の全国大会がかいさいされた。さらに、「富士すいそうがくだん」などもあいぎ結成される。
 各方面では、体育大会“若人わこうどの祭典”が開かれ、9月の本部幹部会では、文化局に新たに学術部と芸術部がたんじょうした。また、各地で音楽祭がせいだいもよおされ、首都圏のメンバーを中心に第1回文化祭も行われた。伸一は、この見事な文化祭こそ、民衆勝利の姿すがたであるとさんたんする。
 10月、ソ連のキューバへのかくミサイルうんぱんめぐって、米ソ両国がいっしょくそくはつの事態となる。“キューバ”である。
 11月、学会は、伸一が戸田城聖にちかった会員300万世帯を達成。伸一は、“次は、いよいよ600万世帯だ”と、広布大願への決意を新たにする。

 

ほう」の章


 

 63年(同38年)1月8日、伸一は未来のために、世界広布のせきを打とうと、世界一周の平和旅へ。
 最初のほうもんであるアメリカのハワイでは、ハワイ支部の結成式をねたハワイ大会がかいさいされた。伸一は、「ハワイにきょうだいほうひるがえれ」とうったえ、また、皆からの質問を受ける。
 一行は、ハワイのカウアイ島をおとずれ、10日には、ロサンゼルスにとうちゃく。12日、アメリカの西部総会が行われ、席上、ロサンゼルス会館のオープンが発表される。
 伸一は、メンバーの、どくかんにあふれた姿すがたを見て、きびしい冬のれんえ、いよいよ「ほう」の春をむかえたと語る。
 13日の夜、彼はニューヨーク支部の結成大会となる東部総会に出席。国際政治のうえでも重要な立場にあるアメリカに、仏法が流布するということは、世界平和の大潮流だいちょうりゅうをつくることになると、メンバーのかつやくに期待を寄せた。
 伸一は、妙法の太陽にらされて、アメリカの各地に、わかが育っていることを確信し、ヨーロッパへ向かう。

 

そうしゅん」の章


 

 1月15日、パリにとうちゃくした伸一は、よくじつ、ヨーロッパ総支部・パリ支部結成大会にのぞむ。ここには、結成されたばかりのドイツ支部などからも代表が参加。伸一は、ヨーロッパにも、太陽がかがやく「早春」がおとずれたと述べ、メンバーに、「みなさん自身が、家庭に、地域に、職場に、社会に、幸福と平和の春をもたらす太陽」であると訴える。
 げきれいこうは、スイス、イタリアへと続き、22日には、キリスト教とイスラム教が二大宗教としてならつ中東・レバノンをさつする。
 さらに、タイなどをけいし、ホンコンへ。伸一は、同行していたタイのバンコク支部の婦人部長から、けいさつばれ、活動のしゅくを求められたとの話を聞く。彼は、諸外国にあって、学会へのかいをとき、理解をうながしていくために、自分が各国のリーダーと対話していこうと決意する。
 香港では、3地区が結成され、27日、一行はこくこうとするが、飛行機のエンジントラブルのため、便をへんこうし、台湾の台北を経由することになる。そして、空港で、伸一のほうもんを待ち望んでいた同志と対面し、激励する。

 

そう」の章


 

 1月24日夜、総本山に登山し、新潟駅に向かう学会員の乗った団体列車が、ごうせつのため、新潟県の宮内駅で立ちおうじょうする。車内で待機する会員に対し、地元同志は、吹雪ふぶきの中、オニギリやしるなどをとどけ、けんめいえんを続ける。そうはんの青年たちは、みなを元気づけようと学会歌のり、大合唱が広がる。その後、長岡駅でも止まり、28日午前0時過ぎ、運転が再開される。こんらんは一切なく、信仰のちからの証明となった。
 2月11日、伸一は、婦人部へのしん「婦人部にあたう」を書き上げる。彼はその中で、「創価学会婦人部こそ、妙法をだきしめた、真の女性解放のせんしゃである」とつづる。
 4月9日、台湾の台北支部が政府の命令により解散となる。メンバーは“冬は必ず春になる”との思いで、だんあつき、27年後、晴れて団体登録される。そして、台湾社会に深く根差し、“ゆうりょう社会団体”としてひょうしょうされるまでになる。
 伸一は、台湾の組織が解散させられたことで、いよいよ、世界広布はげきろうの時代にとつにゅうしたことを自覚する。広布の未来は、すべて、彼の「そう」にかかっていたのだ。

 

 ※『新・人間革命』の本文は、聖教ワイド文庫の最新刷に基づいています。

 

【挿絵】内田健一郎 【題字のイラスト】間瀬健治

 

(2019年4月2日 聖教新聞 https://www.seikyoonline.com/)より