御書全集・・・・・・・・・・・509㌻8行目~11行目
編年体御書・・・562㌻17行目~563㌻2行目

 【本文】
 伝教大師(でんぎょうだいし)云く「浅きは易(やす)く深きは難(かた)しとは釈迦の所判なり浅きを去って深きに就(つ)くは丈夫(じょうぶ)の心なり、天台大師(てんだいだいし)は釈迦に信順(しんじゅん)し法華宗(ほっけしゅう)を助けて震旦(しんたん)に敷揚(ふよう)し・叡山(えいざん)の一家(いっけ)は天台に相承(そうじょう)し法華宗を助けて日本に弘通(ぐつう)す」等云云、安州(あんしゅう)の日蓮は恐らくは三師に相承し法華宗を助けて末法に流通(るつう)す三に一を加えて三国四師(さんごくしし)と号(なづ)く

 【通解】
 伝教大師(でんぎょうだいし)は「『浅い教えを信解(しんげ)するのは易しく、深い教えを信解するのは難しい』というのは釈尊の判別(はんべつ)である。その浅い教えを捨て去って、深い教えに就(つ)くことこそ、丈夫じょうぶ(仏)の心なのである。天台大師(てんだいだいし)は、釈迦仏を信じてその言葉に従い、法華宗を助けて中国で宣揚(せんよう)した。比叡山の一家(伝教の一門)は、天台のあとを受け継いで、法華宗を助けて日本に広めた」と述べている。
 安房国(あわのくに)の日蓮は、恐れ多いことではあるが、釈尊・天台・伝教の三師のあとを受け継いで、法華宗を助けて末法に流通するのである。それゆえ、三師に日蓮一人(いちにん)を加えて「三国四師」と名づけるのである。

 【拝読御書の背景と大意】
 本抄は文永10年(1273年)閏5月、日蓮大聖人が52歳の時に、流罪先の佐渡・一谷(いちのさわ)で著された御書です。竜の口の法難・佐渡流罪という最大の難に遭われる中で、大聖人は門下への指導・激励のために、数多くの御抄を次々と執筆されました。本抄執筆前年の「開目抄」に続き、この年は「観心本尊抄」や「如説修行抄」など、重要な法門書を認められています。
 本抄は「仏の未来記を顕す」との題号の通り、釈尊の未来記を、いつ、誰が、どのように、現実に顕すかを明らかにされています。冒頭に、釈尊の未来記である法華経薬王品(やくおうほん)の文を掲げて、その文を実現できる末法に生まれた喜びを語られ、本抄の主題を明確にされます。そして、末法の初めに、ただ一人、忍難弘通(にんなんぐつう)をする大聖人が「本門の本尊・妙法蓮華経の五字」(507㌻)を顕し、全世界に広宣流布していくことが、釈尊の未来記を顕すということであると示されます。
 次に、実際に仏説通りに法華経を弘通し、そのために難に遭っているのは大聖人以外にいないと述べ、さらにはインドや中国では仏法が滅んでしまっているゆえに、大聖人こそインド・中国・日本の三国(当時の地理的認識で全世界を意味する)で唯一の法華経の行者であると断言されます。
 その上で、「仏法必ず東土(とうど)の日本より出づべきなり」(508㌻)と、末法の御本仏としての御自身の未来記を明かされ、末法のすべての人々を救う大聖人の仏法が、必ず日本から世界へと広まっていくことを示されています。
 最後に、法華経宝塔品(ほけきょうほうとうほん)の「六難九易(ろくなんくい)」の心を体得されたことを明かされ、立宗からすでに21年にわたって幾つもの大難を越えて、難事中の難事である妙法広宣流布をなしてきたことを示されます。
 そして、末法の広宣流布の予兆を知って、大聖人御自身が、インドの釈尊、中国の天台(てんだい)、日本の伝教(でんぎょう)という法華経流通の正統に連なることを明かして、御自身を含めた4人を「三国四師(さんごくしし)」と呼ばれるのです。

 丈夫の心を燃やそう

 拝読御文の冒頭は、伝教大師(でんぎょうだいし)の言葉で、法華経宝塔品で説かれた「六難九易」について解釈した『法華秀句(ほっけしゅうく)』の文(もん)です。六難九易は、釈尊滅後に法華経を受持し、弘通することの困難さを示しています。
 「浅(あさ)きは易(やす)く深(ふか)きは難(かた)し」とあるように、爾前経(にぜんきょう)などの浅い教えは、理解し易いため、弘めるのは易しいといえます。反対に、最も深い教えである法華経は信じ難く、弘めることが難しい経典です。しかし、悪世末法において、法華経以外の浅い教えでは、人々を救うことはできません。
 いかに困難であったとしても、万人成仏の唯一の法である法華経を弘める以外に人々の幸福を開く道はありません。ゆえに大聖人は、浅い教えを去って、法華経を弘めることこそが「丈夫の心」、つまり、「仏の心」であると教えられています。
 後半部分では、この仏の心のままに実践し、この法華経を宣揚(せんよう)し、弘めてきた正しい仏法指導者を挙げられています。すなわち、中国の天台大師(てんだいだいし)、日本の伝教大師(でんぎょうだいし)です。
 この伝教の言葉に続けて、大聖人は、御自身がインドの釈尊、中国の天台、日本の伝教という三師の後を受け継いで法華経を弘めていることを明かされ、この三師に御自身を加えて「三国四師」と名付けられています。
 創価学会は、この大聖人の御精神を継承し、世界192ヵ国・地域に仏法を弘めてきました。大聖人直結で世界広宣流布を進めているのは学会以外にありません。
 池田先生は、「人間の生き方として拝すれば、『浅き』とは惰性であり、安逸であり、臆病である。この惰弱な心を勇敢に打ち破って、『深き信念』と『深き人間の偉大さ』につくのが『丈夫の心』だ」と語られています。私たちは「丈夫の心」を燃やして、「世界広布新時代 栄光の年」を勢いよく前進していきましょう。』

 (2018-1『大白蓮華』 聖教新聞社)より


 SOKAnet 会員サポート教学チャンネル 「座談会御書e講義」
 2018年1月度 顕仏未来記
 「顕仏未来記」509㌻ 講師 : 森中教学部長

 【解説】
 『ここでは、日蓮大聖人御自身こそが、末法広宣流布を担う存在。すなわち、末法の御本仏であることを示される個所となります。
 拝読範囲の前半では、伝教大師の言葉を踏まえて、釈尊、天台、伝教という、仏教の法華経の系譜(けいふ)を明確に示されています。

 【伝教大師(でんぎょうだいし)云く「浅きは易(やす)く深きは難(かた)しとは釈迦の所判なり】

 と、あります。
 この、「浅き」「深き」とは、「浅い教え」と「深い教え」。すなわち、“万人成仏”を「解き明かしていない爾前経」と、「解き明かした法華経」とを比べたものです。
 法華経は、釈尊の悟りの教えがそのまま説かれているから信じ難く、弘めることが難しい経典です。
 そのことは、釈尊も、法華経の中で了解しています。
 それが、釈迦の所判です。
 だから、

 【浅きを去って深きに就(つ)くは丈夫(じょうぶ)の心なり】

 とあるように、浅きの教えである爾前経への執着を断ち切って、深き教えである法華経にもとづいていくことは、「丈夫」、すなわち、仏である「釈尊の心」だということです。
 ここで、「丈夫」とは、仏の十号(じゅうごう)、十の名前のひとつです。
 つまり、仏教の根本は、“万人成仏の教えを説く法華経でなければならない”というのが、伝教大師(でんぎょうだいし)の言葉の深意です。
 私たちの実践でいえば、常に、人間の可能性を開く、深い次元の生き方を求めるのだ。
 法華経を根本とした、「丈夫(じょうぶ)」、すなわち、「丈夫(ますらお)の生き方」です。
 続けて、

 【天台大師(てんだいだいし)は釈迦に信順(しんじゅん)し法華宗(ほっけしゅう)を助けて震旦(しんたん)に敷揚(ふよう)し・叡山(えいざん)の一家(いっけ)は天台に相承(そうじょう)し法華宗を助けて日本に弘通(ぐつう)す」等云云】

 と、あります。
 天台大師は、
 「釈尊の教えに信順」――、すなわち、仏の教えを信じ、仏の心に従おうと決めて
 「法華宗」――、法華経を根本とする教えを助けて、震旦に敷揚。すなわち、中国に宣揚した。
 さらに、
 「比叡山の一家」とは――、ここでは、伝教大師等のことです。
 伝教は、天台大師に相承(そうじょう)。つまり、天台の教えを受け継ぎ、やはり、法華宗を助けて、日本に弘通した、とあります。
 つまり、「“膨大な仏教の教えが残されているけれど、法華経を根幹とすれば、釈尊、天台、伝教が、民衆を救う根本の系譜、正法の系譜である”ということが明らかではないか」、という内容です。
 拝読範囲の後半は、この内容を受けて、この3人に、大聖人御自身を加えて4人となるということです。

 【安州(あんしゅう)の日蓮は恐らくは三師に相承し法華宗を助けて末法に流通(るつう)す】

 です。
 ここで、「安州(あんしゅう)の日蓮は」と言われています。
 本来なら、「日本の日蓮は」と言うべき個所です。
 御自分の生まれた、安房国(あわのくに)を大切にされた表現です。
 真の仏法とは、どこまでも身近な郷土に根ざした、現実の自分の立場から離れて存在するものではない、ということです。
 「恐らくは」というのは、「恐れ多いが」という謙遜(けんそん)の表現です。
 安房(あわ)の日蓮大聖人は、釈尊、天台、伝教の、3人の師匠を受け継いで、法華宗を助けて、末法の弘通、つまり、末法広宣流布を担(にな)って立つことを宣言されたということです。
 天台も、伝教も、大聖人も、共通して、「法華宗を助けて」と表現されています。
 これは、法華経を宣揚する戦いに徹したがゆえに、“釈尊の法華経の正当な後継者だ”ということです。
 しかし、細かく見ますと、釈尊から天台、天台から伝教へと、正法の、言わば、リレーの並びでいうなら、「日蓮は伝教から相承され」と書くところです。
 ところが、大聖人は、「釈尊、天台、伝教の3人を全部受け継ぐ」とあります。
 釈尊の直径として、“仏法の一切を受け継いだ”ということに真意があります。
 まさしく、地涌の菩薩の立場です。
 そのうえで、「末法に流通す」と仰せです。
 これも、「天台は中国に」、「伝教は日本に」と、比べて、「末法万年に」と、実に大きなスケールです。

 【三に一を加えて三国四師(さんごくしし)と号(なづ)く】

 とあります。
 この「三国四師」とは、正法の正しい後継者であるとともに、単に、「後を継ぐ」「4番目」というのではなく、「法華経を末法万年に、全世界に弘めるという、末法の御本仏の御境地」としての表現であると拝されます。


 【ポイント】
 講義のポイントを2点確認いたします。
 第1は、顕仏未来記を著された大聖人の大慈大悲の御精神です。
 大聖人は、流罪地の佐渡で、明日をも知れぬ身命でした。
 塚原から一谷(いちのさわ)に移っても、命が危機に及ぶ状況は変わりません。
 しかし、そうした劣悪な環境のなかで、大聖人は、この佐渡流罪中に、開目抄(かいもくしょう)や観心本尊抄(かんじんのほんぞんしょう)などを執筆されるなど、末法万年の全人類を救済する仏法を確立されます。
 顕仏未来記でも、「幸(さいわい)なるかな」「悦ばしいかな」と、その大歓喜の境涯が綴られています。
 池田先生は、『希望の経典「御書」に学ぶ』で、「顕仏未来記」を講義されています。
 先生は、「『顕仏未来記』は、私の大好きな御書です」とも、綴ってくださっています。
 また、講義の中で、次のようにあります。

 『この「三国四師」は、法華経の行者の系譜です。
 それは、万人の成仏という、仏教の究極の理想を実現する真の正統であり、その道を開きゆく創造的開拓者が法華経の行者です。
 妙法という無限の力を自他ともの胸中に湧き立たせ、濁悪の世にあっても蓮華のように価値の花を咲かせ切っていく。
 その勝利の人華(にんげ)を陸続と開花させ、自分も蓮華と咲き、万人をも蓮華と輝かせていくのが「法華宗」です。言い換えれば、「法華宗」とは、万人に尊極の生命を開く「人間宗」であり、「価値創造宗」です。 (中略)
 創価学会は、この三国四師の系譜において創立された、真の法華宗を世界に弘通している唯一の仏勅の教団です。
 そして、無数の地涌の菩薩を全世界に呼び覚まし、万年の未来にわたる堂々たる平和への大行進を続ける尊貴なる和合僧団であります』
 (『希望の経典「御書」に学ぶ 1』 147㌻)

 以上が、先生の御指導です。
 私たちは、この、三国四師に連なる御本仏直系の団体の誇りも高く、威風堂々と人間宗の前進をしていきたいと思います。


 ポイントの第2は、顕仏未来記を証明した創価学会の使命です。
 『新・人間革命』第3巻、仏法西還(ぶっぽうせいかん)の章では、1961年(昭和36年)の山本伸一会長のアジア歴訪の歴史が綴られています。
 そのなかで、その訪問の意義を山本会長が、「諌暁八幡抄(かんぎょうはちまんしょう)」「顕仏未来記」を通して、“仏法西還”の意義を語る場面があります。
 新・人間革命には、こうあります。

 『この「諌暁八幡抄」のほか、「顕仏未来記」などにも、同様の趣旨の御文がある。いずれも、日蓮大聖人の仏法の西還を予言され、東洋、世界への広宣流布を示されたものである。
 戸田城聖は、その御聖訓の実現を、創価学会の使命として、伸一をはじめとする青年たちに託した。
 もしも、創価学会がなければ、この仏法西還の御本仏の御予言も、虚妄(こもう)となってしまったにちがいない。
 その先駆けの歩みを、伸一は会長に就任して迎えた新しき年の初めに、踏み出そうとしていたのである。それは仏法の歴史を画し、東洋に生命の世紀の旭日を告げるものであった』
 (『新・人間革命』 第3巻30㌻)

 以上が、先生の御指導です。
 “世界広布の後継の道を、青年たちが力強く実現する”というところがポイントです。
 この、先生の深き一念が、今日(こんにち)、世界中で大輪(だいりん)となって結実しています。
 いずこの国にあっても、地涌の青年が陸続と出現し、世界広布の舞台で活躍している時代を迎えました。
 世界広布新時代「栄光の年」の本年。
 まずは、3・16の後継の精神の意義を留める、「世界青年部総会」がございます。
 どうか、世界の青年たちと共に“われ等こそ御本仏の未来記の主人公なり!”との確信をこめて、「世界広布の翼」を大きく広げながら自身の境涯を開いていく「仏法拡大」「人材育成」の実践に勇んで取り組んでまいりましょう』

 (SOKAnet 会員サポート教学チャンネル 「座談会御書e講義」 2018年1月度 顕仏未来記 http://www.sokanet.jp/)より