2016年 南アフリカ・アメリカ・ドイツ
南アフリカで死刑囚房看守の青年が7人を射殺。絞首刑の立会いという過酷な任務を強いられてきた若者の心神状態とは。熱意ある弁護士が真相の究明に動き出す。

死刑執行のシーンが…あまりに生々しく、戦慄を覚えました。
同時に7人の囚人を監房から刑場に追い立てて、首に縄をかけ…レバーが引かれ、床板が開く。そんな事が連日です。
しかも、その囚人たちは、昨日までじぶんが世話をしてあげていた人間で、聖書を読み聞かせてあげるなど、何らかの心の交流があった者も…。
他国との戦いに出兵させられる事を逃れるため、17歳でこの仕事に着いた青年。何も知らずに出勤した当日から、この過酷な任務を遂行させられ、心を病んでいく。
同じ人の命を殺める行為でも、兵士として殺す相手は、何の関わりも持たない敵国の軍服に過ぎないけれど、(決してそれが正しい事とは言えないけれど)この刑務所では昨日まで羊飼いとして世話をやいてきた羊を、今日は屠殺者として殺す。「羊飼いと精肉業者…二つの職業を同時に担う事なんてできないんだ!」法廷での弁護士の叫びが心に響きました。
ネルソン・マンデラが現れる前、アパルトヘイト時代の南アフリカでの話。囚人たちはほぼ黒人ばかり。実際にこう言う状況だったようです。史実というのは一番恐ろしい。人間が人間に対して実際に行いうる行為なので、何か間違えれば、また繰り返される可能性があるから。
死刑廃止論…についても、改めて考えさせられる映画でした。