2012年 インド
ムンバイで神像を扱うお店を経営するガーンジーは無神論者。ある日、地震でお店が倒壊するが、天災は保険対象外。怒ったガーンジーは神様を訴えることに…⁈

ちょっと久しぶりのインド映画。簡単なあらすじを読んで、初めはお気楽なコメディかな?…と思ったのですが、実はなかなか深い内容でした。
宗教って何なのか?信仰って何なのか?神って何なのか?考えさせられます。

主人公ガーンジーの言ってることは、初めは私利私欲の為の屁理屈ばっかり…でしたが、同居人のクリシュナ(実は神⁈)と出会ってから、とても理屈にかなったことを話し出します。寺院や宗教家たちへの批判など…。神を訴えるなんて、馬鹿げたことに誰も賛同なんてしないと思っていたら、意外や意外、支持者が続々現れたりして。

クリシュナ神はヒンドゥー教で最も人気のある神様で、伝説上ではめっちゃイケメン…らしいのですが、この映画に出てくるクリシュナもそれはそれはハイレベルなイケメンさん。現代社会に合わせて、スーツを決めてたり、バイクを乗りこなしたりします。

そのクリシュナが最後の方に言った「無神論者こそが真の信仰者」って言葉が心に刺さりました。いわゆる「熱心な信仰者」は、拝んだり、祈ったり、お供えをしたりして、「どうか〜〜してください」などと、神に見返りを求める。「願いが叶えてくださったら、〜〜をお供えいたします」とか…それってどうなの?
この考え方は私の宗教観にかなりドンピシャです。

私は仏教徒。でも、仏教を「宗教」ではなく「哲学」ととらえています。
毎週禅宗の道場に坐禅をしに行ったり、いろんなお経を読んでみたりするのは、お釈迦様のご利益が欲しいからではなく、お釈迦様の教えを通して「自分がどう生きるべきか」を探していきたいからです。お釈迦様を「神」ではなく「先生」ととらえている部分が大きくて、そういう意味では私も無神論者と言えるかもしれない。

この映画、ガーンジーの言動でコメディ色を出し、クリシュナを出現させることでファンタジー要素も出しながら、実はかなり深いテーマを持っていて、メッセージ性もあり、うまく調和されていていいなぁ…と思いました。