秋田への旅も今日が最終日
帰りの飛行機は午後1時過ぎ
しかし余裕のゆうちゃんは大事だとCMで知っている私は、朝9時にはホテルを出て秋田市へ向かった
うむ。ぬかり無し
昼前に着いたのだが、そのまま秋田駅からリムジンバスに乗り空港へ
2泊3日も出張を許してくれた上司ならびにお店の方々へのお土産はもちろん忘れずに購入
まずはネイガーストラップ
あきたこまちちゃん萌えクッキー
秋田方言ボールペン
か…完璧じゃないか!!
意気揚々と飛行機へ乗り込み出発を待つ
…
…
ぐらぐら
ぐらぐらぐらぐら
ぐれぐらぐりあぐりぐぐらぐれぐろぐらあぐぐらぐらぐれろぐらぐりぐれぐらら
わけがわかりません。
機内は騒然とし、機長のアナウンスにて大きな地震が起こったことを知る。
そのまま機内で待機することとなる
…
どのくらい経っただろうか
辺りは既に日も暮れはじめているが、一向に明かりが見えない。
ひとまず皆、空港へ降ろされたのだか完全停電により何一つ情報がつかめない。
立ち尽くす人々、座り込む人々
そして私もそのひとり
電話は一切通じず、何もわからない
それからほどなくして、秋田駅までのリムジンバスが出るという
流されるままバスに乗り込んだのだが
信号は消え、町の明かりは消え、救急車のサイレンがけたたましく聞こえてくる
大渋滞の中、ようやく秋田駅と付き降りたのだが
…なにひとつ
…明かりすらない
…
…知ってるひともいない
雪の降る中、途方に暮れる
仕方ないのでその辺りを、何かないかと行ったり来たりを繰り返すが、なにひとつ解決しないし好転しない
そんな中でひとつだけ明かりを見つける
駅のそばにあるシティホテル
そこには同じように行き場を無くしてしまった人たちが集まっていた
なにやら非常用の電源で朝までは一部だけ明かりが付けられるというのだ
わらにもすがる思いで中へと入るのだが、目に入ってきたのは
ぐちゃぐちゃになっていた結婚式のための飾りだった
後ろめたい気持ちを押さえながらホテル入り口付近にて腰を下ろし、たまに揺れる状況の中でただ時が過ぎるのを待った
その時、すでに夜10時は過ぎていたのを覚えている
とにかくもう寒さからか疲れからか、体が動かなくなってきていた…
そんな時ホテルスタッフの方から
『ここは寒いでしょう、どうぞここの上の階ならいくらかは暖かいですよ』
と声をかけられる。
好意に甘え、移動させてもらうことにした。
そこには多くの帰宅難民となっていた方々がいた。
もう、あまりスペースもなく部屋室へと上がる階段に座り、たまに起こる地震に目を覚ましながらも睡眠を取った。
朝を迎え、ホテルより案内がある
『当ホテルの電源も、もうまもなく消えてしまいます。これ以上は皆様をお泊めすることができません。』
『このワッフルをお持ちください。お一人様1個だけで大変心苦しいのですが、当ホテルが今できることの全てです。』
本当に、本当に、このホテルには命を救って貰ったと言っても過言ではない。
ほぼ24時間ぶりとなる、食べ物。
ワッフルひとつ。
涙がこぼれた。
そうして私は、避難民を請け負っているというアルヴェ秋田という市民センターへと歩いた。
行くあても、知り合いもいない私はそうするしかなかった。