政府、正確には内閣府、法務省、経済産業省が、

「押印についてのQ&A」を公表したのが、昨年の6月。

 

新型コロナウィルスの影響により、テレワークを推奨する一方、

押印がその障害の一つとなっていました。

そこで、契約書などにおいて、必ずしも印鑑が必要ない事が、

公式に初めて示されました。

 

その後、官公庁などに提出する多くの届出書、申請書などから、

㊞のマークが消えていきました。

ただ、ホームページやリーフレットなどで、

明確にその旨が表示されていないケースもあり、

様式をダウンロードしてみると、㊞マークがなくなっている・・・

というケースが相当多い状況です。

 

担当部署に問い合わせると、口頭で告げられますが、

こちらから尋ねない限りは教えてはくれない事もあります。

 

代理申請の場合、必ず事業主様に押印をお願いするわけですが、

コロナ禍においては、そう何度も訪問をするのもはばかられますし、

郵送でのやりとりでは最短でも3、4日かかります。

押印不要の推進は、とてもありがたい事です。

 

そこで今回は、私が弊社で主に書類作成に携わる

労働者派遣事業許可(更新)申請」と

建設業許可申請」について、あくまで私が関わった案件に関して

押印不要の現状を書いていきたいと思います。

まず「労働者派遣事業許可(更新)申請」です。

こちらは、令和2年12月25日の通達、

「押印を求める手続の見直し等のための厚生労働省関係省令の一部を

改正する省令等 の施行等について」

により、原則押印廃止が示されました。

 

申請書、変更届出書など、「様式第〇号」と付いている書類は、

原則、押印不要となりました。

ただし、添付書類のなかで、

本人の自筆でない履歴書の押印、誓約書への押印など、

変わらず必要となる書類がありますので注意が必要です。

 

そして、ここで「捨印」問題が浮上します。

官公署への申請書類のほとんどは、

捨印」を押すことが求められています。

 

捨印は、申請書等に、軽微な誤りがあった場合、

本来であれば訂正した二重線上に「訂正印」をその都度押す必要があるところ、

それを省略することができるものです。

 

ある労働局で「捨印」は必要だと指摘を受けました。

理由は、今回の押印廃止に、二重線で訂正した箇所に押す

訂正印」は含まれていないというのが理由です。

 

ただ、訂正印はその書類に押した印鑑と同じ印鑑で訂正するのが、

正式な方法であると聞いたことがあります。

もともと印鑑が押されていない書類に、訂正印を押すことに

意味があるのだろうか?

そう思いながら、別の労働局に捨印を押して提出したところ、

「捨印は、いらないですよ」と言われてしまいました。

理由は、「そもそも印鑑がないので、訂正印は意味ありません」

でした・・・・。 

 

決して、労働局批判ではありません。

痛くもない腹を探られたくはありませんので、次にいきます。

「建設業許可申請」の押印についてです。

建設業許可申請は、もともと各都道府県で大きく取扱いが違いますので、

三重県を例に進めていきます。

 

建設業許可申請は、押印不要について

県のホームページ等に明確に記載されていますので助かります。

 

令和3年1月1日に

「押印を求める手続の見直しのための国土交通省関係省令の一部を改正する省令

(令和2年国土交通省令第98号)」が施行され、これに併せて

「建設業許可事務ガイドラインについて(平成13年4月3日国総建 第97号)」の

改定がされたことにより、押印に関する取扱いが次のように変更されました。

 

【本人申請の場合】

・法定書類への押印は、不要(個人名の記載は記名でOK)

 

【代理申請・代行申請の場合】

・行政書士が書類を作成した場合の行政書士の記名と職印は、必要

・本人の記名による法定書類についての押印は、不要

・行政書士が代理人として申請・届出を行う際の委任状の押印は、不要

 

ただし、県が許可行政庁として、独自に求めている様式については、

各様式ごとに取扱いが違います。

 

例えば、「発注証明書」「履行証明書」については、

第3者による証明のため引き続き、証明者の押印が、必要

申立書(理由書)」は、押印に代えて、氏名の記載は本人の自署による。

など、違いがありますので詳しくは建設事務所に確認が必要です。

 

以上、最近の申請時の押印事情についてでした。

いずれにしましても、押印禁止ではなく不要ですので、

従来通り押印されていても、受け付けて頂けます。