目算狂ったか、李明博大統領G20前に難題に直面 | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

韓国で7日、40年前に勤労基準法死守を訴えて韓国労働運動再生のたたかいに火を付けた全泰一青年の抗議の焼身自殺の記念日に際し、全国民主労働組合総連盟(民主労総)に所属する約4万人が参加した「全泰一烈士精神継承2010全国労働者大会」がソウル広場で行われました。全国で100万人が参加した蝋燭デモ以来、近年にない規模の労働者抗議集会ですので、お伝えしようと思います。

전국노동자대회


集会で挨拶した民主労総のキム・ヨンフン委員長は、「全泰一烈士とともに怒り、決意する」「全泰一精神継承を決意することの今日的意味は、80万組合員すべてが全泰一のように思考し、活動し、非正規職、中小零細の低賃金労働者、移住労働者との階級的団結を最優先し、市民社会民衆陣営との連帯を通じて反労働、反民主、反統一勢力である李明博政権を審判する闘争に打って出ることだ」とし、「全国民と一丸となり一握りの既得権と対決し、福祉も進歩も、民主主義も問題は他でもない労働基本権であることを確認しよう」「国民にとって希望の火花となる闘う民主労総、烈士とともに歴史の前に恥ずかしくない世の中を変える民主労総として進軍しよう」と訴えました。
大会には南アフリカ、香港、コロンビア、ナイジェリア、スリランカ、日本、ブラジルなど各国の代表が参加しました。


海外からの参加者らはG20を指しながら、「現在資本主義の危機をそのまま労働者と民衆が引き受けている。労働者の権利が奪われている」と、次のように訴えています。「たったの20カ国に、世界の未来を決定させてはならない」「新自由主義が加速度的に労働者を該当に追いやっており、労働者を弾圧している」「ともに団結し労働者の闘いを力強く繰り広げよう、労働者が聞きの責任を負わせられないようたたかおう」。


この日ソウル広場の周辺には警察113中退、9千人が配置され、大会場を警察車両などで取り囲み労働者大会参加者らが大会後に予定していたデモをその出発点から封鎖しましたが、一部では衝突がおき警察が催涙液を浴びせるなど強硬に弾圧しました。

전국노동자대회

             催涙液を水鉄砲のようなもので集会参加者らに浴びせる警察隊


しかし労働者らは「労働基本権を取り戻し、労働法を全面改正し、非正規職、最低賃金と青年失業、雇用など相対的な労働問題を解決するために2011年に80万人が参加する一大総ストライキを含む大衆闘争を組織展開する」「労働者の政治勢力化をいっそう組織的に進め、労働者、農民、汗を流して働く人々を真に代弁することのできる政治権力を打ち立てるための闘争をより後半に展開する」との決意を表明しました。


全体的流れを見ますと韓国の労働運動は、真の働くものの政治結社を組織する方向に向かって果敢に進んでいくようです。そしてそれは政権奪取までを念頭に置いているようです。現在民主労働運動の結晶ともいえる民主労働党という政党が存在するので、その発展的解散を伴うのか、新たな政治組織の結成-民主労働党との連合などが考えられますが、あと2年で終わる李明博政権の任期を考えると今後、韓国労働運動から目を離せなくなりそうです。


他方、11日に予定しているG20頂上会議開催を前に労働団体を中心にした「G20対応民衆行動」が6日から12日までを共同行動週間とすると宣布し、経済、社会的危機解決をための根本的な対策を要求するという趣旨の多様な活動を展開する予定だと言います。


同「G20民衆行動」は、①G20は構造調整プログラムを強要し世界の民衆に苦痛を加えたIMFを根本的評価と改革がないまま復権させている、②金融統制、貧困の解決、気候変化問題の解決、就職と福祉の拡大など、経済、社会的危機を解決するための根本的対策をまったく打ち出せないでいる、③真に危機解決の代案となるためには民衆を中心に置き、彼らの生活を持続可能にする方向で彼らの主体的参加を通じて設計されねばならない、などと訴えていくと言います。


去る4日から活動に入った「G20民衆行動」は7日から10日までソウル麻浦区のイエズス会センターでソウル国際民衆大会を開催し金融規制、気候変化、FTA、貧困、開発など議題別のワーク・ショップと労働者討論会など総17のフォーラムを進める予定だと言います。また11日には、世界から集まった労働組合、市民団体の代表らとともに「人間が優先されるべきだ!経済危機責任転嫁G20糾弾国際民衆共同行動の日」集会と行進がソウル駅広場で行われる予定です。12日にはパリG20頂上会議にどう対応するかを論議する「パリへ向かう道-戦略会議」が開かれると言います。

はたして李明博政権はG20に反対する世界の労働市民団体の行動にどう対処するのでしょうか?韓国労働運動に対する対応と同じような手は使えないでしょう。だからといって政権に敵対的な韓国労働運動との共闘を黙ってみているわけにも行きません。見ものです。


すでに「G20民衆行動」に参加するために正式にビザを取り、韓国に入国しようとしたフィリピンの活動家6名が入国を拒否され、本国に強制帰国させられた事件が起きています。フィリピンの代表の中にはIBONインターナショナルの政策広報部長であるポール・クィントスが含まれていますが、IBONインターナショナルはドイツの「フリードリッヒ財団」とともに「G20民衆行動」の共同主催団体だけに、問題が尾を引きそうです。

こうした入国拒否事態からも、李明博政権が決して「G20民衆行動」に温和な対応をするとは思えません。ましてや「G20民衆行動」は韓国の民主労総が展開し始めた労働運動と軌をひとつにしているだけに、その対処は難しいところでしょう。G20が李明博大統領の人気取りどころか、政権のファッショ的本質を暴く契機にもなりかねない様子です。