腸捻転でも起こしたか産経新聞 合同調査団の嘘またも発覚 | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

「天安艦」事件に関する安保理議長声明の内容に顔面蒼白となったのは李明博政権だけだと思っていたのですが、そうでもないようです。11日付けの産経の「主張」(社説)「対北議長声明 実効性なく極めて不十分だ」からは、顔面蒼白を飛び越えて怒りと無念さで腸捻転でも起こしたかのような悲痛な叫びが聞こえてくるようです。


朝鮮問題に関して言えば、産経の記事は無責任、未確認、独りよがり、我田引水などの言葉で特長付けられますが、その結果、「天安艦」事件を見る韓国民の冷静な視線を見ることが出来ず、勝手に思い込んだストーリーと違う、まったく思いもしなかった展開を見せらつけられたことから、その鬱憤を中国やロシアに向けた「主張」でした。


「天安艦」沈没の調査のために独自の調査団を送ったロシアとしては、「部外者は黙れ」と言いたいところでしょう。中国にしてもそれは同じです。しかし産経の今の精神状態では中ロに対する非難がまったく的外れであることが理解できそうもないようです。一度は議長声明を「日米韓の外交的勝利」だと無邪気にはしゃいでいたのですが、やはり錯乱を起こしているのでしょうか?

「泥棒にも三分の理がある」と言います。韓国の李明博政権はその「3分の理」を安保理議長声明で認めて欲しかったわけですが、それさえも認められなかったことに対して、泥棒の仲間が非難しているようなものです。それこそ理に適わない言動だといわねばなりません。


それでも納得できない知能レベルであることを考慮して、韓国の合同調査団の調査結果というものがいかに眉唾物であるのかを、新たに発覚した事実を持って紹介したいと思います。


1つ目は「天安艦」の船尾のスクリューについてです。実は船尾を引き上げたときから問題になっていたことです。左右二つの内の右側のスクリューの羽根がなぜか内側に大きく曲がっているのです。座礁船舶引き上げの専門家らは、これこそ座礁した証拠だと主張しました。しかし合同調査団は魚雷攻撃によってエンジンが突如停止したが、慣性によってスクリューが回り続けたためだとして、そのシミュレーション結果を発表しました。


シミュレーション結果を検討すると、なるほどスクリューの羽根は回転と同方向に内側に曲がっている事がわかりました。ところが「天安艦」のスクリューの羽根はなんとスクリューの回転方向とは真逆の方向で内側に曲がっているのです。もちろん合同調査団はシミュレーションの結果は、スクリューの羽根が内側に曲がった原因を明らかにしたと発表しています。ところがそれが嘘だったわけです。シミュレーションの結果スクリューの羽が内側に曲がった原因を説明できなかったわけです。つまり座礁した際に、それから逃れるために後進を繰り返した結果だという座礁船引き上げ専門家の主張を覆せなかったというわけです。(写真の右の黄色い矢印はスクリューの回転方向をさしています。赤は実際にスクリューの羽が内側に曲がった方向です。青はシミュレーションでのスクリューの羽が曲がった方向です)


結局合同調査団は嘘をついたことを認めざるを得ませんでした。


2つ目は魚雷の残骸についてです。ロシアの調査団は魚雷の残骸の錆の状態を見て2,3ヶ月の間に付いた錆ではないとの意見を持ったようですが、それが民間の実験によって立証されたのです。


アルファ潜水技術公社(イ・ジョンイン代表)は5月24日に加熱したアルミニウムとステンレス、鉄の破片を自社前の仁川沖の海底に埋め、50日目の13日に掘り出したのです。もちろん魚雷に使われた実際の金属と同じ金属を使って類似した条件のもとで海底に埋めたのですが、50日後の腐食度は、実際に提示された魚雷の残骸のように錆びてはいなかったのです。アルミニウムの場合はほとんど錆が生じず、一部に白いパウダー状のものが発見されただけでした。


合同調査団が公表した魚雷の残骸のアルミニウムのスクリュー部分のほとんどが白いアルミニウム・パウダーで覆われていたのとは天地の違いが見られたのです。もちろん簡易な実験ですが、目視だけで結論を出した合同調査団よりはましです。KBSなどのTV3社のカメラの前で行われたこの実験の結果は、合同調査団が提示した魚雷の残骸は2,3ヶ月どころか、4.5年前のものである可能性があることを示しています。


「天安艦」沈没事件が北朝鮮の魚雷攻撃によると主張する人々、産経などのマスコミも次々とその嘘が暴露されている合同調査団の調査結果に何時までも我を張っているのではなく、軌道修正をしたほうが良いでしょう。身のためです。


産経の「主張」は「これで一件落着としてはならない。」と唸ります。そうでしょう。ところが北朝鮮はそうした姿勢を既に安保理議長声明が出た直後に表明しています。国防委員会検閲団を受け入れることを再度要求しつつ、これが実現するまで「海底を含む事件現場を一切変更することなく保存すべき」だと主張しています。北側としては真相を完全に究明するまで手を緩めないとの立場をはっきりと示したわけです。何も産経が言わなくても良いことです。北朝鮮も「決して一件落着」とする意思は無いのですから。


それよりも産経のこの主張が、逆に李明博大統領に至極迷惑な物にならないか「心配」です。李大統領としては「天安艦外交」の失敗を早く忘れて欲しいと思っているのではないでしょうか?なぜならそれが政敵にとって格好の攻撃材料になるのが明らかだからです。アメリカにとっても問題をこれ以上長引かせたり、複雑にしたくないというのが本音でしょう。38度線沿線での心理戦攻撃にストップをかけ、西海での米韓軍事演習についても尻込みをし始めていることからも、そうしたアメリカの姿勢を読み取る事ができます。はっきり言って産経の「主張」は米韓にとって迷惑千万なのです。それに気がつかないところが産経の産経たる所以であり、ここに産経の眼下無人のはてしない驕りが見えるのです。