(つづき)私が不在の時にジェロームに何が起こるだろうかということには、私は敢えて思いを向けませんでした。だんだん理解していただけるようになっていますでしょうか、どうして、嫉妬どころでは全然ない、ということを…

 

(ヴィオレット) そのお話すべてのなかに、わたしを恐怖させる何かがありますわ。

 

(アリアーヌ) あなたは一度も気づいていなかったのですか? ジェロームには、その… 奇妙な傾向がある、ということに。

 

(ヴィオレット) 一度も。

 

(アリアーヌ) もしあなたが、彼の育った環境を想像できるなら、あなたの驚きもそんなに大きくないでしょう。彼の母親や彼のおばさんたちを知っている私としては、— あのひとたちは洗練され過ぎていて生気に欠け、いつでも彼を、生きることから防御しようとしているように思えました… いいですか、彼があなたと出会ったことは、大きな幸運なのです。私の思うに、あなたは彼を解放したのです。

 

(ヴィオレット、甘く、しかし、或る厳しさをもって。) わたしたちは愛し合っています。ただそれだけです。

 

(アリアーヌ) そのことによって、あなたは彼を救ったのでしょう。もしあなたがたの出会いが、ただの感覚的なものの不意打ちでしかなかったとしたら、もっともこれはほとんど解し難いことですが、そうしたら私が今のように、私の心中をあなたに打ち明けることが出来ると、あなたはお思いですか?