ヤスパースが精神病理学で、個としての人間の「素質」ということを言っている。

 

ぼくの素質は、潔癖症と云われるだろうほどの潔癖性にある。ぼくの短所も長所もこの素質に由来するので、この素質そのものを他との比較評価なしで肯定し受け入れてはじめて、ぼくはぼくとして生きることができる。学校などでは評価できぬのだ。この素質がぼくの躓きともなったが、この素質のおかげで外国で学位も取れた。ぼくにおいてはまだ微温的だと云える素質が、もっと甚だしい人々もいるだろう。人間はもともと、固有な素質に沿って教育されるべきであり、自己教育こそ正しいのである。